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見知
「見知〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見知の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
何気なくその方を一瞥した。するとその襖側《ふすまぎわ》のうす暗がりには、私の全く
見知らない四十恰好《しじゅうがっこう》の男が一人、端然として坐っていた。実を云え....
「じゅりあの・吉助」より 著者:芥川竜之介
吉助「われら三年の間、諸処を経めぐった事がござる。その折さる海辺《うみべ》にて、
見知らぬ紅毛人《こうもうじん》より伝授を受け申した。」
奉行「伝授するには、い....
「河童」より 著者:芥川竜之介
たのは何よりも両側の龕《がん》の中にある大理石の半身像です。僕は何かそれらの像を
見知っているように思いました。それもまた不思議ではありません。あの腰の曲った河童....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
が、己は今夜、己の憎んでいない男を殺さなければならない。
己はあの男を以前から
見知っている。渡左衛門尉《わたるさえもんのじょう》と云う名は、今度の事に就いて知....
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
、大声に泣き出したりした。
神経にさわることはそればかりではなかった。午後には
見知らない青年が一人、金の工面《くめん》を頼みに来た。「僕は筋肉労働者ですが、C....
「妙な話」より 著者:芥川竜之介
千枝子は咄嗟《とっさ》にふり返って見たが、後には赤帽も何もいない。いるのはこれも
見知り越しの、海軍将校の夫妻だけだった。無論この夫妻が唐突《とうとつ》とそんな事....
「白」より 著者:芥川竜之介
ンか何かを食べているのです。けれども白が驚いたのはそのせいばかりではありません。
見知らぬ犬ならばともかくも、今犬殺しに狙われているのはお隣の飼犬《かいいぬ》の黒....
「早春」より 著者:芥川竜之介
徴かも知れない。彼は三重子に忠実だった。が、三重子は半年《はんとし》の間に少しも
見知らぬ不良少女になった。彼の熱情を失ったのは全然三重子の責任である。少くとも幻....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
か木の芽か山独活《やまうど》を摘みに来た娘らしかった。素戔嗚はその女たちを一人も
見知って居なかった。が、彼等があの部落の中でも、卑《いや》しいものの娘でない事は....
「少年」より 著者:芥川竜之介
ざ波は勿論、あらゆる海の幸《さち》を享楽した。茶屋の手すりに眺めていた海はどこか
見知らぬ顔のように、珍らしいと同時に無気味《ぶきみ》だった。――しかし干潟《ひが....
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
日であることだけは妙にはっきりと覚えている。
僕はなぜかこの姉に、――全然僕の
見知らない姉に或親しみを感じている。「初ちゃん」は今も存命するとすれば、四十を越....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
土の匂や枯草の匂や水の匂が冷かに流れこんで来なかったなら、漸咳きやんだ私は、この
見知らない小娘を頭ごなしに叱りつけてでも、又元の通り窓の戸をしめさせたのに相違な....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
帰途なりしとなり。その事を言い出て大いに笑われたり。予は面目なく覚えたり。小女を
見知りし事は主公も知らねば、人口を憚かりてともに知らぬ顔にて居たり。 予はこれ....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
り、その昇降口から眺めてみよ。ひと、ひと、ひと、どこまで行っても人だ。数限りない
見知らぬ人が、野にも町にも、うようよと動いている。そこには耕すことしか知らぬ愚昧....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
御維新」前の或年の正月、父は川向うへ年始に行き、帰りに両国橋を渡って来ると少しも
見知らない若侍が一人偶然父と道づれになった。彼もちゃんと大小をさし、鷹の羽の紋の....