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見送る
「見送る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見送るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
《けう》な文使《ふづか》いだとでも思いますのか、迂散《うさん》らしくふり返って、
見送るものもございましたが、あの老爺《おやじ》はとんとそれにも目をくれる気色《け....
「路上」より 著者:芥川竜之介
動き出した。俊助はいつまでもプラットフォオムに立って、次第に遠ざかって行く野村を
見送るほど、感傷癖に囚われてはいなかった。だから彼はもう一度鳥打帽の庇へ手をかけ....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
がつかない。青い煙草の煙が、鼻眼鏡を繞《めぐ》って消えてしまうと、その煙の行方を
見送るように、静に眼を本間さんから離して、遠い空間へ漂《ただよわ》せながら、頭を....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
げて行った。彼は茫然と立ち止《どま》ったなり、次第に遠くなる領巾《ひれ》の色を、
見送るともなく見送った。それからあたりの草の上に、点々と優しくこぼれている嫁菜の....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
軍は愉快そうに頷《うなず》きながら、それなり馬を歩ませて行った。
騎兵は将軍を
見送ると、血に染《そ》んだ刀《とう》を提《ひっさ》げたまま、もう一人の支那人の後....
「出帆」より 著者:芥川竜之介
えの》行の電車にのった。そうしてどっちか先へのったほうを、あとにのこされたほうが
見送るという習慣があった。今日《きょう》、船の上にいる君が、波止場《はとば》をな....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
もう一人はちょうど虎《とら》のように黒と黄とだんだらの海水着を着た、軽快な後姿を
見送ると、いつか言い合せたように微笑していた。
「彼女たちもまだ帰らなかったんだ....
「或る女」より 著者:有島武郎
しく幾度か青年の手に触れる機会を求めた。列車の中からはある限りの顔が二人を見迎え
見送るので、青年が物慣れない処女《しょじょ》のようにはにかんで、しかも自分ながら....
「或る女」より 著者:有島武郎
見た。そそくさと朝の掃除を急いだ女中たちの心も葉子には読めた。葉子はその女たちを
見送るとなんという事なしにさびしく思った。
帯の間にはさんだままにしておいた新....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
あの砂埃の中を水際立って、駈け抜けるように、そりゃ綺麗だったと云うのだ。立留って
見送ると、この内の角へ車を下ろしたろう。 そろそろ引返したんです、母様がね。休....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ぶきをしのぎ分けて、沖へ沖へと岸を遠ざかって行く。海岸にひとかたまりになって船を
見送る女たちの群れはもう命のない黒い石ころのようにしか見えない。漁夫たちは艪をこ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
思うが、今向う側を何んとか屋の新妓とか云うのが、からんころんと通るのを、何心なく
見送ると、あの、一軒おき二軒おきの、軒行燈では浅葱になり、月影では青くなって、薄....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
も見せず、間もなく別れを告げて帰り行きました。 『矢張り生みの母は有難い……。』
見送る私の眼からはこらへこらへた溜涙が一|度に滝のように流れました。 母に逢っ....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
究課題である。私としては、その防止に全力を尽した。最初は筆記が遅く、肉眼で文字を
見送る必要があったが、それでも、盛られた思想は、決して私の思想ではなかった。間も....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
ご殿しながらついて、川端の酸漿提灯の中へぞろぞろと黒くなって紛れたあとは、彳んで
見送る井菊屋の人たちばかり。早や内へ入るものがあって、急に寂しくなったと思うと、....