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「見透〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

見透の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
も知れない。が、己にはどうしても、そうする余裕が作れなかった。まるで己の心もちを見透《みとお》しでもしたように、急に表情を変えたあの女が、じっと己の目を見つめた....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
たから、なまじいな殿上人などは、思召しにかなう所か、すぐに本性《ほんしょう》を御見透《おみとお》しになって、とんと御寵愛《ごちょうあい》の猫も同様、さんざん御弄....
仙人」より 著者:芥川竜之介
がめながら、片手で、しきりに髪を掻いている。顔は見えないが、どうやら李の心もちを見透かして、相手にならずにいるらしい。そう思うと、多少不快な気がしたが、自分の同....
」より 著者:芥川竜之介
女の感情を、――かなり複雑な陰影を帯びた好奇心だの非難だのあるいはまた同情だのを見透《みす》かされないためもあれば、被告じみた妹の心もちを楽《らく》にしてやりた....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
に、運んだかも知れないと思っているんだ。何しろ君の一言一動は、皆、お島婆さんにゃ見透しらしいからね。いや、事によると、この間の電話の一件以来、僕も随分あの婆に睨....
或る女」より 著者:有島武郎
胆なのを葉子は自分で存分に知り抜いているのだ。自分から進んで内兜《うちかぶと》を見透かされたようなもどかしさはいっそう葉子の心を憤らした。 「あなたは二人《ふた....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
いう人があるかも知れない。私達の生活は昔のような素朴な単純な生活ではない。それは見透しのつかぬほど複雑になり難解になっている。それが言葉によって現わされる為めに....
親子」より 著者:有島武郎
ら見ていても、父の申し出の中には、あまりに些末のことにわたって、相手に腹の細さを見透かされはしまいかと思う事もあった。彼はそういう時には思わず知らずはらはらした....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
を見やって居る。自分も彼の視線を辿った。近くでは、日の黄を交えて草緑なのが、遠く見透すと、印度藍を濃く一刷毛横になすった様な海の色で、それ丈けを引き放したら、寒....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
ければ無理な事である。 一九一四年八月十八日頃のモルトケの煩悶はこの辺の事情を見透せば自ら解るではないか。敵は予期した通りロートリンゲンに侵入して来た。しかし....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
につく処を、「お俥。」となぜいわない。「お傘。」と来ては、茶屋めが、お互の懐中を見透かした、俥賃なし、と睨んだり、と思ったから、そこは意地だよ、見得もありか、土....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
して、ちょっと伸上るようにして、戸に立つ男の肩越しに、皎とした月の廓の、細い通を見透かした。 駒下駄はちと音低く、まだ、からころと響いたのである。 「沢山出な....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
が、売溜の銭箱の蓋を圧えざまに、仰向けに凭れて、あんぐりと口を開けた。 瓜畑を見透しの縁――そこが座敷――に足を投出して、腹這いになった男が一人、黄色な団扇で....
婦系図」より 著者:泉鏡花
の目からは、奥に引込んで、夫人の姿は見えないが、自分は居ながら、硝子越に彼方から見透くのを、主税は何か憚かって、ちょいちょい気にしては目遣いをしたようだったが、....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
は衣紋を直しつつ近着いた。 近づくと、 「あッ、」 思わず、忍音を立てた――見透す六尺ばかりの枝に、倒に裾を巻いて、毛を蓬に落ちかかったのは、虚空に消えた幽....