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見透し
「見透し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見透しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
に、運んだかも知れないと思っているんだ。何しろ君の一言一動は、皆、お島婆さんにゃ
見透しらしいからね。いや、事によると、この間の電話の一件以来、僕も随分あの婆に睨....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
現われた時分に戸村の家の門前まで来た。この家の竃《かまど》のある所は庭から正面に
見透して見える。朝炊《あさだ》きに麦藁を焚《た》いてパチパチ音がする。僕が前の縁....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
当り正面の大姿見に、渠の全身、飛白の紺も鮮麗に、部屋へ入っている夫人が、どこから
見透したろうと驚いたその目の色まで、歴然と映っている。 姿見の前に、長椅子一脚....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
いう人があるかも知れない。私達の生活は昔のような素朴な単純な生活ではない。それは
見透しのつかぬほど複雑になり難解になっている。それが言葉によって現わされる為めに....
「妖術」より 著者:泉鏡花
、ヒヤヒヤと頬に触る。一雫も酔覚の水らしく、ぞくぞくと快く胸が時めく…… が、
見透しのどこへも、女の姿は近づかぬ。 「馬鹿な、それっきりか。いや、そうだろう。....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
をかいた。どうやら棺の外からX光線をかけたものらしい。X光線をかけると、棺の中は
見透しだった。彼が生きて藻掻いているところも、骸骨踊のように、棺外の連中の眼にう....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
綱、朱の鞍置いた、つくりものの白の神馬が寂寞として一頭立つ。横に公園へ上る坂は、
見透しになっていたから、涼傘のままスッと鳥居から抜けると、紫玉の姿は色のまま鳥居....
「転機」より 著者:伊藤野枝
私は土手を匐うように低く生えた笹の葉の緑色を珍らしく見ながらそういった。この先の
見透しもつかないような広い土地――今はこうして枯れ葦に領されたこの広い土地――に....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
りと月に凍てた廻縁の総硝子。紅色の屋号の電燈が怪しき流星のごとき光を放つ。峰から
見透しに高い四階は落着かない。 「私も下が可い。」 「しますると、お気に入ります....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
ては李の樹が、毛虫で一杯。 それに宅中陰気でね、明けておくと往来から奥の室まで
見透しだし、ここいら場末だもんだから、いや、あすこの宅はどうしたの、こうしたのと....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
かけた。 十 一息つき言葉をつぎ、 「第一、その日清戦争のことを
見透して、何か自分が山の祠の扉を開けて、神様のお馬の轡を取って、跣足で宙を駈出し....
「雪霊記事」より 著者:泉鏡花
ような革鞄一つ掛けたのを、玄関さきで断られる処を、泊めてくれたのも、蛍と紫陽花が
見透しの背戸に涼んでいた、そのお米さんの振向いた瞳の情だったのです。 水と言え....
「荒蕪地」より 著者:犬田卯
。 続いて前村長は、農業衰退の必然性と、重工業、軍需工業隆昌についての世界的な
見透しに関して高邁な意見を一くさり述べてから、少しく声を低めて、 「古谷は君、掛....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
が、売溜の銭箱の蓋を圧えざまに、仰向けに凭れて、あんぐりと口を開けた。 瓜畑を
見透しの縁――そこが座敷――に足を投出して、腹這いになった男が一人、黄色な団扇で....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
あらゆる努力を払って完全防空をする。どれだけをその範囲とするかが重大問題である。
見透しが必要である。 その他はなるべく分散配置をとる。そこで「最終戦論」で提案....