見遁す[語句情報] » 見遁す

「見遁す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

見遁すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
抑圧すべき道徳の上に成り立たねばならぬとの主張の上に据えられた人類の集団生活には見遁すことの出来ないうそがある。このうそを、あらねばならぬことのように力説し、人....
朱日記」より 著者:泉鏡花
あるのが、美しい水晶のような目を、こう、俯目ながら清しゅう※って、列を一人一人|見遁すまいとするようだっけ。 物見の松はここからも見える……雲のようなはそれば....
西湖の屍人」より 著者:海野十三
を向けた。ことに彼を喜ばせたものは、音響だった。どんな微かな音響であっても、彼は見遁すことなく、その音響が何から来るものであるかについて、考えるのが楽しみになっ....
」より 著者:徳田秋声
よ。」 「だけど、お前の目が始終|先方を捜していると同じに、先方の目だってお前を見遁すもんか。」 「そんなことは真実にありませんよ。」 七十五 けれ....
」より 著者:徳田秋声
りも一層|潤沢をもって来たお今の目などの、浅井に対する物思わしげな表情を、お増は見遁すことができなかった。 夜一つに寝ているときに、お増は浅井のいないのに気が....
生の拡充」より 著者:大杉栄
だ少数ながらも、しかもすでに断乎たる歩みをこの道に進めている。盲目者の外は何人も見遁すことのできない、将来社会の大勢を形づくりつつある。 事実の上に立脚すると....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
今少し賢いか、今少し愚かのどちらかであって、東宮が小鳥に見とれているのをそのまま見遁すことが出来たなら、この年若な貴公子はしかつべらしい聖賢の道よりも、もっと自....
崩れる鬼影」より 著者:海野十三
だような歯を剥いていました。私はそこにあったスタンドを取上げてどんな細かいことも見遁すまいと、眼を皿のようにして観察してゆきました。 しかし別に手懸りになるよ....
イデオロギー概論」より 著者:戸坂潤
(『社会的論理』)は、その代表的なものであるが、P・ラピーやT・リップスの仕事も見遁すことが出来ない*。H・ロッツェが元来情意の対象と考えられていた価値を、論理....
レーリー卿(Lord Rayleigh)」より 著者:寺田寅彦
に見えた。「彼の特徴として、物を観るのに広い見地から全体を概観した。樹を見て森を見遁すような心配は決してなかった。」「いつでも大きな方のはしっこ(big end....
チューインガム」より 著者:寺田寅彦
云われても仕方がないであろうが、しかしこの些末な嗜好品の流行の事実もそう軽々には見遁すことの出来ないものではあろうと思われる。 また考え直してみると日本という....
科学時潮」より 著者:海野十三
いを増した。怪人は一同に別れを告げて去った。一行は見す見すこの恐るべき殺人犯人を見遁すより外に仕方がなかった。 ――それから数分後、一大音響と共に、突如、死の....
活人形」より 著者:泉鏡花
けり。 今病人に指さされし時、件の男は蒼くなりて恐しげに戦慄きたり。泰助などて見遁すべき。肚の中に。ト思案して、「早く、お退きなさい。お前方の入って来る処では....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
無うお帰りでしょうから、若旦那の仰せに任せて、手前は主人の供をしながら、当の仇を見遁すとは怪しからん奴だから腹を切れと仰しゃるか、手討にすると仰しゃるか知れませ....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
分でなく、ややもすれば行き詰まりの人事行政打開に重点を置いて軍拡を企図した形跡を見遁す事が出来ない。平時兵団の増加は固よりよろしいが、応急のため更に大切なのはシ....