見過ごす[語句情報] » 見過ごす

「見過ごす〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

見過ごすの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
わ》い女子《おなご》が群がる犬に取り巻かれている。それが見ず識らずの人であっても見過ごすことは出来ないのに、まして相手は玉藻であるらしいので、千枝太郎の胸は跳《....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ても店の者に持たせてくるか、なんとか臨機の処置を取るべき筈であるのに、そのままに見過ごすとは何事であるかと、自分は重役方からさんざんに叱られた。そう云われると、....
函館の大火について」より 著者:寺田寅彦
しともかくも日本の国の富が年々二億円ずつ煙と灰になって消失しつつある事実を平気で見過ごすということは少なくも為政の要路に立つ人々の立場としてはあまりに申し訳のな....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
暗澹たる黒雲が待っている。恐ろしい破滅が控えている。僕はこれを涙なくしてどうして見過ごすことができよう。これらもみな今までの君のライフが充実していなかったがため....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
た、吉原の大門《おおもん》を出た宇津木兵馬は、すれ違いに妙な人と行逢って、それを見過ごすことができなかったのは。それは羽織袴に大小を帯びた立派な武家の姿をしてい....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
あろう。 とは云え、許婚の岩太郎と山吹の父の杉右衛門とは他人のようにそう簡単に見過ごすことは出来なかった。 まず岩太郎の心持ちから云えば、嫉妬、憤怒、そして....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
で流れた血。 「皆さん、女が殺されている」 大事の前、それでも人の一命と聞いて見過ごすわけにはいかない。 「ああ、酷《むご》たらしい殺され方」 「それ、血が袴....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ろには、優に二人三人の人をかくし住まわすには余りがある、とこう睨《にら》んだのを見過ごすわけにはゆきません。 ほどなく、その部屋の前に立って様子をうかがうと、....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
言、それにそむくべきか。父の遺言にそむくべきか。あるいはまた罪悪の行なわるるのを見過ごすべきか。一方には父のために懇願する「わがユルスュール」の声が聞こえるよう....
妾の半生涯」より 著者:福田英子
言い分けがたく、殊《こと》には母上の病気とあるに、争《いか》で余所《よそ》にやは見過ごすべき、仮《よ》し途中にて死なば死ね、思い止《と》まるべくもあらずとて、人....
」より 著者:神西清
り無いくせに、そのくせ御自分の世話にならずに切り抜けられるのが怖さに、人の艱難を見過ごすことができず、喙を入れるというような方がありますのね。そういう方の虚栄心....
手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
をも作ります。材料の良さと腕の良さとで、仕事は見事であります。ただの農具や雑具と見過ごすべきではありません。 和賀郡の成島には古くから紙漉の業が伝わります。近....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
入れてある失敗は、もう失敗ではありません。そこで予算どおり失敗しても淡々とそれを見過ごす心の余裕があります。 世の中のあらゆるものに価値を認めて行きますから、....
私本太平記」より 著者:吉川英治
ぬなあ」 「それを、何で若殿にはご悠長に」 「む。かく川止めの泊りをかさね、彼を見過ごすかと、いうのだろう。――今日の午、新田が川を渡ったと聞くや、家来どもも躍....