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視
「視〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
視の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
は巧《たく》みに話頭を転換した。がこれは何も眇の表情を気にしたわけではない。彼の
視力は幸福なことに(?)もうそれがはっきりとは見えないほど、衰弱していたのである....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
句を用意していた。しかし相手はやはり顔の筋肉一つ動かさないで、じっと袴の膝の上に
視線を落しながら、
「いえ、質疑ではございません。ございませんが、実は私一身のふ....
「影」より 著者:芥川竜之介
客も、給仕も、煽風機も、何一つ目まぐるしく動いていないものはない。が、ただ、彼の
視線だけは、帳場机の後の女の顔へ、さっきからじっと注がれている。
女はまだ見た....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
煙草を啣《くわ》えながら、じろじろ私たちの方を窺《うかが》っていたのと、ぴったり
視線が出会いました。私はその浅黒い顔に何か不快な特色を見てとったので、咄嗟《とっ....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
とって、確かに恐しい打撃だった。己は三年ぶりで始めてあの女と向い合った時、思わず
視線をそらさずにはいられなかったほど、強い衝動を感じたのを未《いまだ》にはっきり....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
はならぬとあります。――」
お蓮は怯《お》ず怯《お》ず三枚の銭から、老人の顔へ
視線を移した。
「まずその御親戚とかの若い方《かた》にも、二度と御遇《おあ》いに....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
、手前、拝領致しとうございまする。」
斉広は思わず手にしていた煙管を見た。その
視線が、煙管へ落ちたのと、河内山が追いかけるように、語を次いだのとが、ほとんど同....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
に長い鬚《ひげ》などは、ひとりでに左右へ動くらしい。――と思う中にそれもだんだん
視野の外へ泳いで行って、そこから急に消えてしまった。
それが見えなくなると、今....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
《かいよう》だそうだ。――心配はなかろうって云うんだが。」
賢造は妙に洋一と、
視線の合う事を避けたいらしかった。
「しかしあしたは谷村博士《たにむらはかせ》に....
「彼の長所十八」より 著者:芥川竜之介
、読み切りそうもない本を買ったりする如き。 十一、妄に遊蕩せざる事。 十二、
視力の好き事。一しょに往来を歩いていると、遠い所の物は代りに見てくれる故、甚便利....
「初雪」より 著者:秋田滋
れな峯の姿を眺めたり、また近く足もとに寄せて来る静かな海の綺麗な紺碧の水にじッと
視入ったりしていた。 やがて彼女はまたしてもにっこり笑った。そして呟くように云....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
の袂に焼くもろこしの匂い、煎豆の音、氷屋の呼声かえッて熱さを加え、立売の西瓜日を
視るの想あり。半ば渡りて立止り、欄干に倚りて眺むれば、両岸の家々の火、水に映じて....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
った。十一年振りで英国に帰ったが、その時もアイルランドに行って、貧民の生活状態を
視察した。アメリカに置いて来た十九歳の娘を呼んで、共にミュンヘンにつれ帰ったが、....
「寡婦」より 著者:秋田滋
て、額にひくく垂れ下がり、髭は縮れ、眼がそれはそれは大きくて、その眼で射るように
視られると、何がどうということもなしに、相手の胸は乱れるのでした。 ここにこう....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
は、柱をすり減らすのだった。そして、教会へ這入って来る人の顔を一つ残らずじいッと
視つめていた。彼は、学生が日曜日を待ち佗びるように、日曜が来るのを首をながくして....