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覗く
「覗く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
覗くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
の影があった。鳩は嫁莱の花を踏みながら、そっと彼の近くへ来た。そうして彼の寝顔を
覗くと、仔細らしく首を傾けた。あたかもその微笑の意味を考えようとでもするように。....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ってお前、急に帰りそうもないじゃないか。」 と云って、め組の蓋を払った盤台を差
覗くと、鯛の濡色輝いて、広重の絵を見る風情、柳の影は映らぬが、河岸の朝の月影は、....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
器械を以て天界を隈なく捜索して、肉眼では見られない星を多数に見付け出した。これで
覗くと遊星は光った円板のように見えた。一六一〇年には木星を観測してこの遊星の衛星....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
日が暮れて塀越の花の梢に、朧月のやや斜なのが、湯上りのように、薄くほんのりとして
覗くのも、そいつは知らないらしい。 ちょうど吹倒れた雨戸を一枚、拾って立掛けた....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
茶を食べてや。 けども、」 とお三重の、その清らかな襟許から、優しい鬢毛を差
覗くように、右瞻左瞻て、 「和女、因果やな、ほんとに、三味線は弾けぬかい。ペンと....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
心あるもののごとく、橋に沿うて行きつ戻りつする。さしたての潮が澄んでいるから差し
覗くとよく分かった――幼児の拳ほどで、ふわふわと泡を束ねた形。取り留めのなさは、....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
イ、クウン、きゅうと鳴く。 見事に小狗を踏つけた。小村さんは狼狽えながら、穴を
覗くように土間を透かして、 「御免よ……御免よ……仕方がない、御免なさいよ。」 ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
らさら三方をカーテンで囲って、 「覗いちゃ不可ません。」 何事だろうと、布目を
覗く若い娘をたしなめて、内の障子より清純だというのに、卓子掛の上へ真新しいのをま....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
、悚然としたのがそのままである。大事なことを見るがごとく、密とはずすと、銑太郎も
覗くように目を注いだ。 「おや!」 「…………」 六 黒の唐繻子....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
ら、捌髪の垂れ下った中に、藍色の片頬に、薄目を開けて、片目で、置据えの囃子屋台を
覗くように見ていたし、先隣なのは、釣上げた古行燈の破から、穴へ入ろうとする蝮の尾....
「梵雲庵漫録」より 著者:淡島寒月
る。それを少し離れた処で柄の付いた八角形の眼鏡の、凸レンズが七個に区画されたので
覗くと、七人のそうした姿の男が縦横に馳せ廻るように見えて、子供心にもちょっと恐ろ....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
て来ます。狩人がこの沢地をとり囲んだのです。中には木の枝に腰かけて、上から水草を
覗くのもありました。猟銃から出る青い煙は、暗い木の上を雲の様に立ちのぼりました。....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
さっきから透き見をしていたのです。 しかし透き見をすると言っても、何しろ鍵穴を
覗くのですから、蒼白い香炉の火の光を浴びた、死人のような妙子の顔が、やっと正面に....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
た。とうに電燈のついた客車の中には、珍らしく私の外に一人も乗客はいなかった。外を
覗くと、うす暗いプラットフォオムにも、今日は珍しく見送りの人影さえ跡を絶って、唯....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
ふと、生垣を覗いた明い綺麗な色がある。外の春日が、麗かに垣の破目へ映って、娘が
覗くように、千代紙で招くのは、菜の花に交る紫雲英である。…… 少年の瞼は颯と血....