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親しみ深い
「親しみ深い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
親しみ深いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
だろう。 のみならず、この一篇で、私は独逸歌謡曲《ドイツ・リード》特有の、あの
親しみ深い低音に触れ得たことと思う。それゆえ私が、どんなにか、探偵小説的な詭計《....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
まして、砂糖などすぐ一キロぐらい、ペロリと甞めてしまうです……」など、話の上手な
親しみ深い勇士だった。内地へ連絡に来て、これから鹿児島に入り、飛行機で飛んで行く....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
の目標物に於て象徴せずとも世は過ごして行けそうに思われる。雛妓のそれは愛くるしく
親しみ深いものに見えた。 眼よ。西欧の詩人はこれを形容して星という。東亜の詩人....
「光の中に」より 著者:金史良
子供部をはじめとして市民教育部、購買組合、無料医療部等もあって、この貧民地帯では
親しみ深い存在となっていた。赤ちゃんや、子供のためには勿論、日常の細々した生活に....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
奉行であった町野左近将監で、これは氏郷の乳母を妻にしていて、主人とは特《こと》に
親しみ深い者であった。そこで老人の危険を忌む思慮も加わってであろうが、氏郷を吾《....
「放浪の宿」より 著者:里村欣三
上げた。ふと、黒眼鏡が、若者に気づいて、 「よう、起きたな。何処から流れた」と、
親しみ深い笑いを見せた。 「え、奉天から。どうかお願いいたします」彼は柔順に頭を....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ひきつけたのは、彼が音楽家であるからというよりもむしろ、やや常軌を逸したきわめて
親しみ深い活発なお人よしだったからである。彼の悪い噂《うわさ》を聞いても、彼らは....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
愛をそそられて返辞ができなかった。書斎にもどってきて、雀《すずめ》がさえずってる
親しみ深い小さな木を、彼から窓の前にさし示されたとき、彼女は言った。 「これから....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
だわりもなく話しかけることが出来るのである。すべての人が、今や彼と彼の母にとって
親しみ深い人のように思える。それはみんなの眼が母の寝顔に集中して、そのかすかな一....
「地上」より 著者:島田清次郎
たことのある畳廊下を冬子は沈着いた心持で歩くことが出来た。重厚なやや古びた造作が
親しみ深い。そして川風がせせらぎの音につれて、そよ/\と流れ入って来た。大河を後....
「酒徒漂泊」より 著者:佐藤垢石
る。 戸倉はちかごろ、温泉が復活してからすさまじく繁華になって、いまはもう昔の
親しみ深い宿場の模様を偲ぶよすがもない。西洋づくりの店が、軒を並べている。商店の....
「瀞」より 著者:佐藤垢石
村の物持ちの家の縁側の硝子障子に、朝陽が反射するのであろうか。 なんと静かな、
親しみ深い風景であろう。南国の眺めは、旅心に清麗の情を添えてくれるのである。 ....
「水の遍路」より 著者:佐藤垢石
海、湖水。どこであろうと、嫌うところなく釣りを楽しんだ。 故郷上州の水は、殊に
親しみ深い。我が家の近くを、奥深い上越国境大利根岳から流れ出て、岩を削って迸り、....
「漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
行方不明です。 おはずかしい事を申上げました。いつもお作を拝見しては親類中の御
親しみ深い御様子を心から羨しく思っていたものですから、ついついぐちがこぼれました....
「空晴れて」より 著者:小川未明
はや、ときどきは、しぐれと混じって降るであろう故郷の村に、毎日学校へ集まってくる
親しみ深い生徒らの姿を目に浮かべました。「こちらは、こんなにいい天気だのになあ。....