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親疎
「親疎〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
親疎の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「心中」より 著者:森鴎外
ない坐わりようをする。それが随分長く坐わっている時でもそうである。そしてその客の
親疎によって、「あなた大層お見限りで」とか、「どうなすったの、鼬《いたち》の道は....
「明暗」より 著者:夏目漱石
外から来るような心持がした。両方を公平に取扱かっているつもりでいながら、彼は常に
親疎《しんそ》の区別をその間に置いていた。というよりも、遠近の差等が自然天然属性....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
かかるとそれが易々と出来た。 ふだんから、かの女は地球上の土地を、自分の気持の
親疎によって、実際の位置と違った地理に置き換えていた。つまり感情的にかの女独得の....
「私の日常道徳」より 著者:菊池寛
一、人から無心を言われるとき、私はそれに応ずるか応じないかは、その人と自分との
親疎によって定める。向うがどんなに困っていても、一面識の人なれば断る。 一、私は....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
れた。 「これは。これは。」 相変わらずの調子で半蔵らを迎えるのは松雲だ。客に
親疎を問わず、好悪を選ばずとはこの人のことだ。ことに頭は剃りたてで、僧貌も一層柔....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
通《ぐずう》すべく、我は四海の法王たるべき身分だから何処《どこ》へ往ったからって
親疎の別を存せずというを聴いて王感服し、鉢と比丘を渡ししもうた。それを伴れて使が....
「操守」より 著者:豊島与志雄
勤めぶりを見ればすぐに分ることだった。彼女は、好意の感情を超越してるらしかった。
親疎の感情を超越してるらしかった。云わば、最も公平に商売をした。ひらのお座敷でも....
「交遊断片」より 著者:豊島与志雄
交遊断片 豊島与志雄
親疎さまざまの程度の友人達のことをぼんやり考えてみて、そのうちから、思い出すまま....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
あります。だいたいこの計算によれば間違いはありません。 私はお得意に対しては、
親疎遠近の別なく、いっさい平等に売るべしと主張いたします。つまり正札厳守というこ....
「火葬と大蔵」より 著者:喜田貞吉
よれば、「其の地に予め一大穴を鑿ち、火葬の後に其骨を墓に収めずして、之を粉砕し、
親疎を択ばず皆此に蔵するを謂ふか」と解している。なるほど貞丈の説は妥当ではない。....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
母の親類、知合ならびに娘の朋友などはみんな贈物をする。その贈物はその人の貧富及び
親疎の度合に従って違いますが、そのうちには金銭もあり衣類あるいは飲食物もある。そ....
「屍体と民俗」より 著者:中山太郎
今では人肉に代えるに豚肉を以てするようになった。しかしながらこの民俗は今に親族の
親疎を言い表す語となって残っている点からも、在りし昔の事実が窺知される。即ち琉球....
「三国志」より 著者:吉川英治
袁紹は鷹揚だが内実は小心で人を疑う。また、肉親の者を重用しすぎる。 が――君は、
親疎のへだてなく人に接すること簡で、明察鋭い。だから疑いもない。 五……袁紹は謀....
「三国志」より 著者:吉川英治
の擁護である。それ戦いにあたるや、功あるは賞し、罪あるは罰す。正明依怙なく、軍に
親疎なし、奮戦ただ呉を負って、魏を破れ。――行軍には、まず韓当、黄蓋を先鋒とし、....
「野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
我を折った。誠に徳虫魚に及ぶは尊い所業に相異ないが、しかもその間に人を本意とした
親疎内外の差別観がなかったならば、このように無造作に、一方の生命を愛惜するためば....