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観取
「観取〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
観取の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
とき、すでにある一つの前兆とでも云いたいものを感じました。それを、召使の行為から
観取することが出来たのでしたよ」
「すると、僕が訊ねた……」検事は異様に亢奮して....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
離反している。張作霖からは、譴責を喰っている。没落以外に道はない。中津は、それを
観取していた。 「くそッ! 今が、あいつとの腐れ縁も見切時かな。」 ……彼は、....
「小春」より 著者:国木田独歩
にわが昔日の快心を読むなり。ああ! われをしてしばしなりとも汝においてわが昔日を
観取せしめよ、わが最愛の妹よ! そもそもまたかく祈る所以の者は、自然は決して彼....
「現代小説展望」より 著者:豊島与志雄
ニコフの自責や悔恨を述べるに当って、作者の筆が如何に平易に走っているかがはっきり
観取される。 そこで、結論をいえば、ラスコルニコフのような真面目な青年は老婆を....
「奇怪な話」より 著者:豊島与志雄
が冴え返って、悲痛なほど明朗な世界が現出され、その中で自分の身体が、自己を離れて
観取されることがある。 ソリエという医者の報告によれば、モーパッサンは晩年に、....
「文学以前」より 著者:豊島与志雄
から、じかに読者の胸に迫ってくるのである。 横光利一氏の近業には、二つの手法が
観取される。一つは、人間の心理の探求に当って、心理の動向の一般的方式を求めんとす....
「文学の曇天」より 著者:豊島与志雄
拘束は空気の不足である。 近頃吾国に起ってきた自由主義には、右のような陰欝さが
観取されないだろうか。少くとも、この自由主義には朗かさが乏しい。 自由主義は、....
「台湾の姿態」より 著者:豊島与志雄
招き、井手氏は中途で建造を放擲した由であるし、現在、全体と細部との観念の不統一が
観取される。それにしても、この建築は特殊な美観を持っているし、井手氏の創意を尊敬....
「「草野心平詩集」解説」より 著者:豊島与志雄
何なる時でも、江戸川の水は流れ動いて、常に新らしい悠久さを失わない。 それらを
観取するのは、詩人の眼であり、眼の映像を夾雑物なく鮮明に浮き出させるのは、詩人の....
「女心の強ければ」より 著者:豊島与志雄
もの話しっぷりと同様、率直であけすけだが、その底に、容易ならぬ決意の籠ってるのが
観取されるのである。 「実は、あの千代乃というひとのこと、君に少し聞きたいと思っ....
「秦の憂愁」より 著者:豊島与志雄
にはその社会層特有の訓練があるもので、その訓練が身について教養となる。このことを
観取しなければ日本人の美点は分らない……。 論旨が、秦啓源に理解されたかどうか....
「津田青楓君の画と南画の芸術的価値」より 著者:寺田寅彦
種の清新な空気が画面に泛うている事は極端な頑固な人でない限りおそらく誰でも容易に
観取する事が出来るだろう。そしてもしその際自分の本当の感じを押し隠したり偽ったり....
「絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
江の顔をもし眺めた人があったとしたら、たしかその中に燃えさかっている、激情の嵐を
観取する事が出来たであろう。彼女は雨戸に手をかけたままで、茫んやり前方の空間を眺....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
をせねばいかぬというのである。写生という言葉のくり返してあるところに居士の主張は
観取されるのである。最後の歌に「第一に線の配合」とありて写生以上になお線の配合な....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
企てられたのであります。実際に獣類の身軽に、なめらかに、しかも正確に歩く形をよく
観取して、それを時折自身に応用してみると最初は窮屈だが、次第に楽になり、体も丈夫....