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観客
「観客〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
観客の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
しているのを知っていた。立役《たてやく》は幕明きから舞台に出ているものではない。
観客が待ちに待って、待ちくたぶれそうになった時分に、しずしずと乗り出して、舞台の....
「外科室」より 著者:泉鏡花
なる躑躅の丘に上らんとて、池に添いつつ歩めるとき、かなたより来たりたる、一群れの
観客あり。 一個《ひとり》洋服の扮装《いでたち》にて煙突帽を戴《いただ》きたる....
「美術曲芸しん粉細工」より 著者:阿部徳蔵
づ術者は、十枚あるひは十数枚(この数まつたく任意)の、細長く切つた紙片を一枚づゝ
観客に渡し、それへ好みの花の名を一つづゝ書いて貰ふ。書いてしまつたら、受けとる時....
「演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
眼を背負って立っているという職分上の位置からくる。 ○カメラの眼の位置はすなわち
観客の眼の位置である。 ○演出者とは、一面
観客の象徴である。 ○どんなに個性の強....
「映画と癩の問題」より 著者:伊丹万作
ある。普通の映画で客が泣くまでに我々が費している手続きと思考は大変なものである。
観客の理解と同情と感激とを要求するに足るだけの条件、すなわち悲劇の展開に必要なあ....
「間諜座事件」より 著者:海野十三
驚いたりして発見されまいぞ」 「あのなかは敵の密偵で一杯なんだろうな」 「毎夜、
観客の中に百人近くの密偵が交っているということだ。そして何か秘密の方法で、舞台上....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
き魔を操る、舞台における、神秘なる場面にも見えた。茶店の娘とその父は、感に堪えた
観客のごとく、呼吸を殺して固唾を飲んだ。 ……「ああ、お有難や、お有難い。トン....
「橋」より 著者:池谷信三郎
どさりと一階の客席の真中に墜落してしまった。わーっ! という叫び声。一時に立上る
観客の頭、無数の瞳が上を見上げた。舞台では、今死んだはずのレンスキイがむっくりと....
「「吶喊」原序」より 著者:井上紅梅
であっても、いかに屈強であっても、全く無意義の見世物の材料になるか、あるいはその
観客になるだけのことである。病死の多少は不幸と極まりきったものではない。だからわ....
「村芝居」より 著者:井上紅梅
右半身を突込んだので、わたしは自然に押され押されて木戸口に出てしまった。 街は
観客の車以外にはほとんど一人も通行人がなかった。それでも木戸口には十何人か頭を昂....
「私の活動写真傍観史」より 著者:伊丹万作
あおられて波のようにうねる映写幕には日露戦争の実況(?)が写つていた。 我々は
観客席(といつてもそこは材木と布でしきられた何坪かのじめじめした地面にすぎないの....
「思い」より 著者:伊丹万作
たがつて映画を引き上げることの本当の意味は、映画と同時に、その映画をささえている
観客一般の文化の質を引き上げることでなければならぬ。 少なくとも、私の見解はそ....
「雑文的雑文」より 著者:伊丹万作
要としないからそれだけ容易なわけである。どんな低いささやきも機械が適宜に拡大して
観客の耳にまで持つて行つてくれるのだから世話はない。そのかわり機械は機械でいくら....
「ドモ又の死」より 著者:有島武郎
これはともちゃんのだ。尻の後ろにやっとけ。あわててこぼすな。 花田 しいっ。(
観客のほうに向いて笑うのを制する)じゃあけるぞ。みんなしかめっ面をしてろ。 とも....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
に、入場料一シリング(わが五十銭)なるにもかかわらず、広闊なる場内立錐の地なく、
観客約二万人と目算せらる。聞くところによるに、フットボールは豪州第一の国技と名づ....