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「観衆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

観衆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
中へ這入《はい》った。それを見た笠井の娘は我れを忘れて駈け込んだ。「危ねえ」――観衆は一度に固唾《かたず》を飲んだ。その時先頭にいた馬は娘の華手《はで》な着物に....
競馬」より 著者:織田作之助
な》をしゃくっている騎手の服の不気味な黒と馬の胴《どう》につけた数字の1がぱっと観衆の眼《め》にはいり、1か7か9か6かと眼を凝《こ》らした途端《とたん》、はや....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
していると思ったからである。 (あの仮面《めん》のような笑い方はなんだ? 彼等は観衆の拍手が必要なのだ!) ここでも豹一の批評は苛酷だった。しかも、豹一こそこ....
二、〇〇〇年戦争」より 著者:海野十三
国民をイネ国人の俳優が演じていた。だから、実戦さながらの闘争や惨虐が一万五千人の観衆の前に、くりひろげられていく。アカグマ国人は、舞台のうえへ、しきりと声援と喝....
」より 著者:織田作之助
いる寄宿生の群れを見て、軽蔑のあまり涙が落ちた。どいつもこいつも無邪気さを装って観衆の拍手を必要としているのだ。けれども、そう思う豹一にももともとそれが必要だっ....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
意外な突発事件は、その日の興行を、髪梳き場だけで中止させてしまった。 そして、観衆が立ち去った後は、広い空間を、侘びしげな空気が揺れていてその中に、二、三蟻の....
俳優倫理」より 著者:岸田国士
違うところである。 従ってその芸術をいとなむというその仕事の中で、俳優はやはり観衆という集団を相手としている。恰も原始民族が一つの群衆となって神を祭った如く、....
戯曲復興の兆」より 著者:岸田国士
西洋近代古典の再演が圧倒的に人気をさらい、更にアメリカ・ブウルヴァル劇の新鮮味が観衆の心を強く捉えたことは事実である。 しかし、それにも拘わらず、おのおのの新....
あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
釈やおせっかいはちっとも必要でないばかりでなく、最も正しく、かつ厳しい批評家は、観衆そのものだという説を僕は信じています。あとは、好悪の問題です。 かたくなな....
演劇の様式――総論」より 著者:岸田国士
とは、「演劇」の本質と深い関係があるわけで、要するに、俳優が一定の場所へ集つた「観衆」を前にして、じかに、その肉体の表情をもつて、物語りを物語ることが、原則とし....
演劇への入口」より 著者:岸田国士
日本の劇作家が、社会からいかに遇されているかを想像しうるのである。 一般演劇の観衆にとって、こういう問題はどうでもいいであろうか? あるいは、どうでもいいかも....
月世界競争探検」より 著者:押川春浪
て、見送りの人々に一礼してその中に這入って、静かに号砲の鳴るのを待ち構えている。観衆はいずれも息を潜めて瞻視ている。 やがて時計の長短針が一つになって十二時を....
帝展の美人画」より 著者:上村松園
近頃の大会場芸術とやらには、不相応なのかも知れません、ああしないと、通りすがりの観衆の眼を惹かないのかも知れません。ですけれどもあんな調子では、日本画はだんだん....
断食芸人」より 著者:カフカフランツ
高まっていく宣伝によって一つの町の関心をいよいよそそることができたが、それからは観衆も受けつけなくなり、客の数がぐんと減るということがはっきりみとめられるのだっ....
」より 著者:織田作之助
かし、彼の自尊心がもっと立派な代物であったら、少なくともその時、それを行うのにも観衆者がいるというような心の状態はいさぎよしとしなかったであろう。彼は観客の拍手....