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触れる
「触れる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
触れるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
覚えている。灯取虫は深い闇《やみ》の中から突然きらびやかに生まれて来た。が、炎に
触れるが早いか、嘘《うそ》のようにぱたぱたと死んで行った。これは何も今更のように....
「影」より 著者:芥川竜之介
た葉巻を吸い始めた。
……煙草の煙、草花の※《におい》、ナイフやフォオクの皿に
触れる音、部屋の隅から湧き上《のぼ》る調子|外《はず》れのカルメンの音楽、――陳....
「河童」より 著者:芥川竜之介
した。僕は雌の河童を抱き起こしながら、(いったい僕はぬらぬらする河童の皮膚に手を
触れることをあまり好んではいないのですが。)「どうしたのです?」と尋ねました。
....
「老年」より 著者:芥川竜之介
えるか、きこえぬかわからぬほどかすかな音をたてる。房さんは禿頭を柔らかな猫の毛に
触れるばかりに近づけて、ひとり、なまめいた語《ことば》を誰に云うともなく繰り返し....
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
は或は何げなしに言った言葉かも知れなかった。が、僕の心もちには何か幽《かす》かに
触れるものだった。
「ちょっと紅茶でも飲んで行《ゆ》くかな。」
僕等はいつか家....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
い温《あたたか》みを漂わせていた。が、物悲しい戦争の空気は、敷瓦《しきがわら》に
触れる拍車の音にも、卓《たく》の上に脱いだ外套《がいとう》の色にも、至る所に窺《....
「或る女」より 著者:有島武郎
ろとかいって、音楽者のようにデリケートなその指先で、わざとらしく幾度か青年の手に
触れる機会を求めた。列車の中からはある限りの顔が二人を見迎え見送るので、青年が物....
「或る女」より 著者:有島武郎
煙を吹いた。煙管《きせる》の先が端《はし》なく火鉢《ひばち》にかざした岡の指先に
触れると電気のようなものが葉子に伝わるのを覚えた。若さ……若さ……。
そこには....
「星座」より 著者:有島武郎
えるそんな調子で。
「何しろ新井田は果報者だて」
渡瀬は往来に出て、寒い空気に
触れるにつけて、暖かそうな奥さんの笑顔と肉体とを実感的に想像して、こう心の中で呟....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
に会ったからすぐ知れました。あれは親身な人だっけ」 君の素直な心はすぐ人の心に
触れると見える。あの水車番というのは実際このへんで珍しく心持ちのいい男だ。君は手....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
似合わしく、若くしてこの世を去った。文献によればビヤトリスは切なるダンテの熱愛に
触れることなくして世を終ったらしい。ダンテの愛はビヤトリスと相互的に通い合わなか....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
かのしなやかなパオロの手を自分の首に感じた。熱い指先と冷たい金属とが同時に皮膚に
触れると、自制は全く失われてしまった。彼女は苦痛に等しい表情を顔に浮べながら、眼....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
往来で彼に近づいても気が付かなかった。そうして、眼も眩むような立派な着物をきて、
触れるばかりにのそりのそりと自分のそばを通って行く冷やかな頑丈な男はいったい誰で....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
ました。 二人はその晩、拾った赤児を替り番子に抱いて寝ました。赤児の柔かい肌が
触れると、二人とも何んとも言い表わしがたい快感を感じました。夜になってから、赤児....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
この界隈はどこを見ても、――僕はもう今昔の変化を云々するのにも退屈した。僕の目に
触れるものは半ば出来上った小公園である。或はトタン塀を繞らした工場である。或は又....