言うに言われない[語句情報] » 言うに言われない

「言うに言われない〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

言うに言われないの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
れた。それを断わるのも辛《つら》し、受け取るのも辛いので、栄之丞はそのたびごとに言うに言われない忌《いや》な思いをさせられた。 その次郎左衛門にきょう測《はか....
箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
眺めていた。二人は又しばらく黙っていた。 女は男の心の奥を測りかねていた。男は言うに言われない苦労を胸に抱えているらしく思われるのに、なぜあらわに打ち明けてく....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
、省作との関係も一切明かしたうえ、 「わたしは不仕合せに心に染まない夫を持って、言うに言われないよくよく厭な思いをしましたもの、懲りたのなんのって言うも愚かなこ....
古事記物語」より 著者:鈴木三重吉
、一同でお供をして帰ってまいりました」と申しあげました。 天皇は、それはそれは言うに言われないほどお喜びになりました。そしてすぐに兎上王をまた再び出雲へおくだ....
竹の木戸」より 著者:国木田独歩
何となく薄気味悪く思っていた。だからお徳までが磯には憚る風がある。これがお源には言うに言われない得意なので、お徳がこの風を見せた時、お清が磯に丁寧な言葉を使った....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
酔興で夜夜中《よるよなか》、こんなところに転がってる芸妓があるもんですか、これは言うに言われない切ないいりわけがあってのことよ、察して頂戴な」 「困ったな」 「....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
のお父様という人は、甲州第一のお金持、その大家の長女としてのお銀様との間に、何か言うに言われない悲しい事情がおありなさるということは、わたしもうすうす聞いていた....
ほととぎす」より 著者:堀辰雄
ままいつまでもその暮れようとしている庭面《にわも》をぼんやりと見入っていた。一種言うに言われないほどの好い匂が、ときおりその夕闇のなかに立って、それがまだ鶯なん....
かげろうの日記」より 著者:堀辰雄
方で馬が気もちのいいくらい高く嘶《いなな》いた。それがどういうわけか、私のうちに言うに言われないような人なつかしさを蘇《よみがえ》らせた。……それからやがて人の....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
の中にあったように、白く死んでゆくのでした。わたしはその枯れ死んでゆく姿を見て、言うに言われない苦悶を感じました。彼女はわたしの苦しみに感動して、死ななければな....
無題抄」より 著者:上村松園
うという気になって来ています。 上手な人のを聴いていると、節廻しひとつにしても言うに言われない妙味があり、その抑揚の味のよさを聞いて感心するばかりでなく、難し....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
に一種の踊りのお浚いに留まって、わたしたちが五代目菊五郎の舞台から感得したような言うに言われない柔かみというようなものを味わうことは出来まい。観る人もまたそれを....