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訃音
「訃音〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
訃音の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「阿部一族」より 著者:森鴎外
いる。今年十七歳である。江戸参勤中で遠江国《とおとうみのくに》浜松まで帰ったが、
訃音《ふいん》を聞いて引き返した。光貞はのち名を光尚《みつひさ》と改めた。二男|....
「二人の友」より 著者:森鴎外
電車の中で、君と語を交えるに過ぎなかった。 それから四五年の後に私は突然F君の
訃音《ふいん》に接した。咽頭《いんとう》の癌腫《がんしゅ》のために急に亡《な》くなったと云うことである。....
「安井夫人」より 著者:森鴎外
気の鋭い若者であったのに、とかく病気で、とうとう二十六歳で死んだのである。仲平は
訃音《ふいん》を得て、すぐに大阪を立って帰った。 その後仲平は二十六で江戸に出....
「護持院原の敵討」より 著者:森鴎外
一人いる。この男は本国姫路にいるので、こう云う席には列することが出来なかったが、
訃音に接するや否や、弔慰の状をよこして、敵討にはきっと助太刀をすると誓ったのであ....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
連中の間を泳ぎまわっている葉子の噂もあまり香ばしいものではなかった。 加世子の
訃音を受け取った葉子が、半年の余も閉じ籠もっていた海岸の家を出て、東京へ出て来た....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
った。 机上にはまた森氏の書信があった。しかしこれは枳園の手書ではなくて、その
訃音であった。 枳園は十二月六日に水谷町の家に歿した。年は七十九であった。枳園....
「藤の実」より 著者:寺田寅彦
常といくらかちがうことは可能であろう。 年末から新年へかけて新聞紙でよく名士の
訃音が頻繁に報ぜられることがある。インフルエンザの流行している時だと、それが簡単....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
たとばかりで後は手紙一本も寄越さぬくらい、実に酷い奴で、夫五兵衞が亡くなった時も
訃音を出したに帰りもせず、返事もよこさぬ不孝もの、兄の五郎三郎も大層に腹を立って....
「学生と先哲」より 著者:倉田百三
したやさしき文藻は粗剛な荒法師には書けるものでない。 建治二年三月旧師道善房の
訃音に接するや、日蓮は悲嘆やる方なく、報恩鈔二巻をつくって、弟子日向に持たせて房....
「妾の半生涯」より 著者:福田英子
肥満を来し、その当時の写真を見ては、一驚を喫《きっ》するほどなり。 五 女史の
訃音《ふおん》 それより数日《すじつ》を経て翌二十年五月二十五日公判開廷の際に....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
君と私とは、同君が大学在学当時以来すこぶる眤懇の間であったので、突如として同君の
訃音をきいたときは、殊に哀愁の感を禁じ得なかった。 日本の植物名の呼び方・書き方....
「迷信解」より 著者:井上円了
あったとかいうくらいにて、つまり不吉の夢を見た。しかるところ、その後に親戚の者の
訃音に接し、されば、過日の夢は全く精神の感通に相違ないと速断するのである。これは....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
らで騾馬の啼く声もきこえた。かれの衰えは去年から眼についていたが、戦場の秋にその
訃音を聴こうとは思わなかったのである。わたしが八つの年に初めて新富座でかれの渥美....
「叔父と甥と」より 著者:岡本綺堂
消えてゆく。取残されたる叔父の悲み、なかなかにいい尽すべくもあらず。小林蹴月君も
訃音におどろかされて駈け付け、左の短尺を霊前に供えられる。 今頃は三途の秋のスケ....
「一日一筆」より 著者:岡本綺堂
押込まれている。今日ではあまり用をなさないので、私も殆ど忘れていたが、今や先生の
訃音を聞くと同時に、俄にかの字書を思い出して、塵埃を掃いて出して見た。父は十年|....