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「計らず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

計らずの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
もなく身にしみ渡るさびしみや、死ぬまで日陰者であらねばならぬ私生子の定子の事や、計らずもきょうまのあたり見た木部の、心《しん》からやつれた面影などを思い起こした....
或る女」より 著者:有島武郎
の心は月の光で清められたかと見えた。倉地が自分を捨てて逃げ出すために書いた狂言が計らずその筋の嫌疑《けんぎ》を受けたのか、それとも恐ろしい売国の罪で金をすら葉子....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
時半以後となって、最も深い動機を持っていると目されていた、猶太人の一製粉業者に、計らずも不在証明が出来てしまった。したがって、事件はそれなり迷霧に鎖されてしまっ....
わが町」より 著者:織田作之助
れようと思たらよう精進するんやぞと意見してくれたのを守らなかったばっかりに、いま計らずもこの災難!」 「おい、あいつ泣いて断りしとる。お前代ったりイ」 「よっし....
単独行」より 著者:加藤文太郎
を上に張って潜り込んだ。孔の中の温度を計ろうと思って寒暖計を出していたが、一度も計らずに紛失してしまった。孔の中はあたたかだったが、二時間ほどで出発した。そのう....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
とも思詰めたに、式のごとき恥辱を取る。 さて、申すまじき事なれども、せんだって計らずもおがみました、貴方のお姿、お顔だちが、さてさて申すまじき事なれども、過去....
花束の虫」より 著者:大阪圭吉
比露子夫人の朋輩であったと言う、先程のあのモダンガールを探し出す事の出来た僕は、計らずも彼女の口から、上杉逸二と比露子夫人とがそのかみのバッテリーであった事、そ....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
鯨! しかも鬚の十フィート以上もある大きい奴をな!(捕鯨者仲間では鯨を体の長さで計らず、その鬚の長さで計るのである) さて、ドクトル。君はわしとわしの運命との....
赤格子九郎右衛門」より 著者:国枝史郎
うござる!」と、九郎右衛門は重々しい声で先ず云った。 「日本の男子九郎右衛門が、計らず殿下にお眼にかかり、お国の大事を聞いたというも、何かのご縁でござりましょう....
紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
長フロストの遭難記にほかならぬのである。 ところが、内容の終わり近くになると、計らずも数ページの驚畏すべき記事が、私の眼を射た。 それは、素朴そのままの、何....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
日誌を破ったのは、てっきりウルリーケだと思うよ。ああ、十七年後……」 とそこで計らずも検事は、「ニーベルンゲン譚詩」とこの事件とをつなぐ、第二の暗合を発見した....
光は影を」より 著者:岸田国士
て、ちよいちよい会うんだ。待てよ、電話をかけてみよう」 こうして、京野等志は、計らずも、極めて類の少い、大人の家庭教師という役を引受ける決心で、遠矢幸造の別宅....
月世界競争探検」より 著者:押川春浪
の上にして、幼にして母を失いたる嬢は、ただ天にも地にも博士一人を力としいたりしに計らずも今回の不幸に際し、悲歎やる方なく、日は日もすがら、夜は夜もすがら父の身を....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
団匪事件の時、陸軍通訳として招集され、従軍中しばしば清廷の宗室大官と親近する中に計らずも粛親王の知遇を得たのが青雲の機縁となった。事件落着後清廷が目覚めて改革を....
芝、麻布」より 著者:小山内薫
\三男を旧役者の群に投ずることになった。こないだ、震災後再築された市村の家の前を計らず久しぶりで通って、私は今昔の感に堪えなかった。 明舟町は誠に静かなところ....