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訛
「訛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
訛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
話していた。彼女の言葉は四五年前のように「それは」を S-rya と発音する田舎
訛《いなかなま》りを改めなかった。お鈴はこの田舎
訛りにいつか彼女の心もちも或気安....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
すじかいに坐った賢造へ、
「もう御診断は御伺いになったんですか?」と、強い東北|
訛《なまり》の声をかけた。
「いや、あなたが御見えになってから、申し上げようと思....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
袖がない! 天も……なんとやらで、なんとかして漏らさず……ですな」 弁者はこの
訛言《かたごと》をおかしがりて、 「天網恢々《てんもうかいかい》疎にして漏らさず....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
、二百八十間の橋向う、鞠子辺の産らしい、十六七の婢どんが、 「ふァい、奥様。」と
訛って云う。 聞いただけで、怜悧な菅子は、もうその用を悟ったらしい。 「誰か来....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
びたのじゃぞいな。」 戻道。橋で、ぐるりと私たちを取巻いたのは、あまのじゃくを
訛ったか、「じゃあま。」と言い、「おんじゃ。」と称え、「阿婆。」と呼ばるる、浜方....
「わがまま」より 著者:伊藤野枝
て、グッと下腹に圧しつけながら目をつぶった。 いつもはこの汽車の中で聞く言葉の
訛りがいかにもなつかしく快よく響くのだが、今日はそれどころではない。彼女は連れの....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
わざと粋がって「避暑に行ったです。」「アルプスへ上るです。」と使用するが、元来は
訛である。恋われて――いやな言葉づかいだが――挨拶をするのに、「嬉しいですわ。」....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
世間体を繕っているのでもない。お伽堂というのは、この女房の名の、おときをちょっと
訛ったので。――勿論亭主の好みである。 つい近頃、北陸の城下町から稼ぎに出て来....
「橋」より 著者:池谷信三郎
……と彼が言いかけると、いいえ違ってよ。これは英語の navel、お臍って字から
訛ってきたのよ。ほら、ここんとこが、お臍のようでしょう。英語の先生がそう言ったわ....
「露肆」より 著者:泉鏡花
うにフッと吹く。 カタリと転がる。 「大福、大福、大福かい。」 とちと粘って
訛のある、ギリギリと勘走った高い声で、亀裂を入らせるように霧の中をちょこちょこ走....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
でも懐しいのに、謂うがごとき人品。それに信州、能登、越後などから修業に出て来て、
訛沢山で、お舌をなどという風ではない。光起の亡き父も、義庵と称して聞えた典薬頭、....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
が、年紀のころ二十三四、眉の鮮かな目附に品のある美少年。殊にものいいの判然として
訛のないのは明にその品性を語り得た。お杉は一目見ると、直ちにかねて信心の成田様の....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
胆な議論をしていたが、率ざ自分が筆を執る段となると仮名遣いから手爾於波、漢字の正
訛、熟語の撰択、若い文人が好い加減に創作した出鱈目の造語の詮索から句読の末までを....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
、これに関聯して秘密の使命を受けていたかのような想像説まで生じたのは多分この事が
訛伝されたのであろう。事実は犬の間違であったのだ。 こんな咄にもならない馬鹿々....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
るものにいたっては、両翼の長さ六尺ありという。案ずるに、阿房鳥とはアルバトロスの
訛伝ならん。当夕ヤソ教礼拝式ありて、乗客半数出席す。 二十二日、雨。寒さらに加....