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訝る
「訝る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
訝るの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
前の人間でなくて、昔話にあるような、異形の怪物であっても、この刹那にはそれを怪み
訝るものはなかったであろう。まだ若い男である。背はずっと高い。外のものが皆黒い上....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
……お役に立つことがあったら、何なりといたしますわ。ホホホホ」 ――え? と
訝る折しも、何を思ったか洋装の少女はつと僕に近づいて、腕を捉えた。そして僕の耳許....
「連環記」より 著者:幸田露伴
飛ぶが如く国府を後にして都へ出てしまった。 勿論官職位階は皆辞して終った。疑い
訝る者、引留める者も有ったには相違無い、一族|朋友に非難する者も有ったには相違無....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
純林がある。下には根曲竹や羊歯が多い。最前聞いたのと同じ妙な声が間近で復聞える。
訝る間もなく一疋の羚羊が飛び出して一散に逃げて行った。小さな沢に出る。横を巻いて....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
して、それがどちらとも判断がつかないうちに、私はすっかり驚いて、ただ眼を丸くして
訝るより他にしようがなかった。 ヒスパニオーラ号は大檣帆と二つの斜檣帆とを張っ....
「澪標」より 著者:外村繁
私の顔面はよほどきれいになったが、それでも私の顔を見るなり、 「どうしました」と
訝る人もいる。私は依然として口腔外科へは週に一度、放射線科へは月に一度の割合で、....
「浅間噴火口」より 著者:豊島与志雄
「そして、別所さんは……。」 「一緒です。」 別所のことを云い出されても、李は
訝る気色もなく、初めから分ってたもののような応対だった。 「浅間の噴火口はみごと....
「古き小画」より 著者:宮本百合子
ない恐怖に掴まれた。彼は、さっと蒼白くなった顔の中で、二つの光の失せた眼を瞠り、
訝るように、傍に立っている、天につかえそうな背高い戦士を見上げた。急に、頭の中に....
「独身」より 著者:森鴎外
って起って行くのを、主人は見送って、覚えず微笑した。そして自分の冷澹なのを、やや
訝るような心持になった。 この心持が妙に反抗的に、白分のどこかに異性に対する感....
「旅愁」より 著者:横光利一
をしてみたが、黒い影のように見える千鶴子の姿が、
「どういうこと、それ?」
と
訝るらしい首の曲げ方で答えた。その千鶴子の様子は、なまめかしい悩みを顕している風....
「黒田如水」より 著者:吉川英治
おられるのは、どなたのお子か。貴所にご子息はないように承知していたが」 と、怪
訝ると、重治は、 「お見知り置かれよ。これこそそれがしが、信長様よりお預かり申し....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
れたし、その乾児も、懲らしてやったのに、鬱いでいることはなかろうに」 又八の怪
訝るのはもっともだった。典馬を討ってやったことはどんなに、この母娘から欣ばれるこ....