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「訪問着〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

訪問着の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
花火」より 著者:太宰治
箪笥《たんす》から、すっと姿を消している。はじめ、まだ一度も袖《そで》をとおさぬ訪問着が、すっと無くなっているのに気附いた時には、さすがに節子も顔色を変えた。母....
山羊髯編輯長」より 著者:夢野久作
匂いの棚引く中に恭しく頭を下げた。 何という生地かわからぬ金線入、刺繍裾模様の訪問着に金紗の黒紋付、水々しい大丸髷だ。上げた顔を見ると夢二式の大きな眼。小さな....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
向いて、 「真弓さアーん」 と声をかけた。 「はーイ」 と返事がして、派手な訪問着を着たウェイトレスがパタパタと駈けてきた。 「まあ、男爵。よく来たわネ」 ....
赤外線男」より 著者:海野十三
の手袋の嵌った優雅な両手でジッと押さえていた。コートの下には小紋らしい紫がかった訪問着がしなやかに婦人の脚を包み、白足袋にはフェルト草履のこれも鶯色の合わせ鼻緒....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
小説の主人公が一人浮かび出して来た。 「奥さんも、顔は少々二の町だけれど、派手な訪問着なんか着て、この人はただ人柄がいいというだけのものなの。小説や映画のことも....
死のなかの風景」より 著者:原民喜
いるようだった。だが、四年前に拵《こしら》えたまま、まだ一度も手をとおさなかった訪問着が夜具の上にそっと置かれていた。電灯の明りに照らされてその緑色の裾模様《す....
道標」より 著者:宮本百合子
ていて、伸子は苦しいようだった。ミセス・レイマンはその老年にかかわらず、レースの訪問着はややつかれているにかかわらず、いくらか頬の艷があせているだけで、イギリス....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
しないの。互の親族は。これは大変奇妙でした。その間にお嫁さんは立って黒の裾模様を訪問着にかえ、すこし坐っていて又立って、こんどは友禅のものにかえ、又すこし立って....
けむりを吐かぬ煙突」より 著者:夢野久作
指定された通りに裏門の潜り戸から這入ると、そこいらのベンチに待っていたらしい訪問着姿の未亡人が出迎えた。無言のままシッカリと私の手を握ったので又も緊張させら....
女坑主」より 著者:夢野久作
眉香子未亡人が静々と込って来た。僅かの間に櫛巻髪を束髪に直して、素晴らしい金紗の訪問着の孔雀の裾模様を引ずりながら、丸々と縛られた維倉青年の前に突っ立った。眩し....
魔都」より 著者:久生十蘭
眼を注ぎながら、 「まだじかに一度も逢ったことはないのだね、残念だな」 「でも、訪問着のお仕立をホテルへお届けすることになってますから、近々お目にかかれますわ」....
だいこん」より 著者:久生十蘭
」 「かしこまりました。夫人《おく》さま」 ママは大いそぎで身じまいをすると、訪問着《アプレ・ミディ》に半礼装のシャールをかけて招待のお礼に行った。 どうも....
あなたも私も」より 著者:久生十蘭
車のほうへ駆けて行った。 愛一郎が操縦席におさまると、暁子はすっきりした地色の訪問着の袖を庇いながら、 「あたくし、助手」 と愛一郎のとなりのシートに辷りこ....
帯の巾が広すぎる」より 著者:上村松園
が風流に取り扱われて長くなりました。今日では帯が極度に発達致しましたし、きものも訪問着など出来まして真に立派な服飾時代に入りましたが、現在の帯は余りに広巾すぎて....