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「許婚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

許婚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
ぼして帰った。それは次郎左衛門が二十二の春であった。 次郎左衛門には栃木の町に許婚《いいなずけ》の娘があったが、そんなわけで破談となった。妾《めかけ》を二、三....
忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
続いた。彼は夫の定まっている女なら、少しは反抗もするだろうと思った。彼は、命じて許婚《いいなずけ》の夫ある娘を物色した。が、そうした女も、忠直卿の予期とは反して....
遊星植民説」より 著者:海野十三
うな、若くて美しい女性がこの室に入ってくれるのを待っていた」 「博士、あたしには許婚が……」 「わしのロケットはあの第三十八階ですべての出発準備を整えていたのだ....
蠅男」より 著者:海野十三
そのことや。実はドクトルからも尋ねられたことやけれど、娘はんとあの上原山治という許婚は、ドクトルが居らへんもんやさかい、こっちへ来たついでやいうて、いま九州の方....
河明り」より 著者:岡本かの子
嬢さんに伺いますが、あんたあの方に、どのくらい惚れていらっしゃるんです。まあ、お許婚だから、惚れるの惚れないのという係り筋は通り越していらっしゃるんでしょうけれ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
。」遊女が、「仏様でしたら差支えござんすまい。御両親。」その墓は故郷にある。「お許婚……?」「いや、」一葉女史の墓だときいて、庭の垣根の常夏の花、朝涼だから萎む....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
文字は蓋し左のごときものにてありし。 お通に申残し参らせ候、御身と近藤重隆殿とは許婚に有之候 然るに御身は殊の外|彼の人を忌嫌い候様子、拙者の眼に相見え候えば、....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
こは、自分とあの人とがために浮名を流した、浜田の水の源ぞと聞くからに、顔を知らぬ許婚に初めて逢いに行く気もすれば、神仙の園へ招待されたようでもあって、いざ、立出....
貞操問答」より 著者:菊池寛
坐ると、キャメルに火をつけながら、 「貴女がさっき愛人とおっしゃったのは、愛人か許婚かのつもりで、おっしゃったのですか……そんな深い意味じゃないんでしょう。それ....
海亀」より 著者:岡本綺堂
大阪の或る学校を卒業して、今は自分の家の商売をしている。清と美智子とは従弟同士の許婚といったようなわけで、美智子がAの女学校を卒業すると、浜崎の家へ嫁入りする筈....
犬神娘」より 著者:国枝史郎
てその人と逃げたり、その人が笑うと糸切り歯の端が、真珠のように艶めくというので、許婚をすててその人と添ったり、おおよそ女ってそんなものだよ。……あの人のお手、綺....
光は影を」より 著者:岸田国士
だけれど、たしかにオヤジにはなりましたね」 「奥さんは?」 「まだらしいですよ。許婚かなんかあるんでしようね。そんなことをちらつと臭わせてました」 母は、それ....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
上げにくい話なんでございますが、……実は手前……瓜生の里には四十年前に云い交した許婚がひとり待って居るんでございます。 文麻呂 許婚? 瓜生ノ衛門 へえ、まあ、....
審判」より 著者:カフカフランツ
。あいつがよいにつけわるいにつけ、私の先生株でしてね。階下の、銀行の前では、私の許婚が事の成行きを待っているんです。まったく恥ずかしくてたまらないくらいです」 ....
機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
ったのじゃないかと却って逆恨みに、裁判した方を蔭ではお恨みして居りましたんです。許婚の夫に自殺されたんで私の心はすっかり変ってしまいました。夫に官金費消罪を犯さ....