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「詠む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

詠むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
のような晴れやかな景色を見ても、わしにはなんとも歌うことが出来ぬ。藻、お前は歌を詠むのじゃな」 「父《とと》さまに習うたけれど、わたしも不器用な生まれで、ようは....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
|無垢な白い死に装束があらわれる。彼は短剣の輝く刀身を恍惚とながめて、次の絶唱を詠む。 人生七十 力囲希咄 吾が這の宝剣 祖仏共に殺す(三七) 笑みを顔にうかべ....
雛妓」より 著者:岡本かの子
り、 「鐘の音は、もう済んだ」と言って、手を離したわたくしの耳を指さし、 「歌を詠む参考に水鳥の声をよく聞いときなさい。もう、鴨も雁も鵜も北の方へ帰る時分だから....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
沁む秋の風」というのだったそうで、父はまた考えていました。 「辞世にまで猿の眼を詠むようでは、やっぱり猿の一件が祟っていたのかも知れない。」 そうは言っても、....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
わそわと足が早うなるのう。――一句浮んだ。茶の宵やほのかにゆらぐ恋心、京弥これを詠む、とはどんなものぞよ」 パッと紅葉がその頬に散ったに違いない。声もなくさし....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
、本居先生の歌にもとづいて、いくらかでも古の人の素直な心に帰って行くために、詩を詠むと考えたいんです。それほど今の時世に生まれたものは、自然なものを失っていると....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
に送った人で、文字の嗜みのない男でもない。日ごろ半蔵を感心させるほどの素直な歌を詠む。彼が開いて見る本の中には京大坂の町人の手に成った古版物や新版物の類もある。....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
ったものだから、おれも苦りきっていてやったよ。すると、その男がうめくように一句|詠むじゃないか。 われを見て苦い顔する蛙かな といってね。」 「へえ、変に気のひ....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
ある。 これはここへ来てからの、心覚えの童謡を、明が書留めて朝夕に且つ吟じ且つ詠むるものだ、と宵に聞いた。 立ったままに寄って見ると、真先に目に着いたのが濃....
巴里のむす子へ」より 著者:岡本かの子
叫び廻り度い気がする。それが出来ないばかりに、私は涙ぐんで蹲りながらおまえの歌を詠む。おまえがときどき「あんまり断片的の感想で、さっぱり判りませんね。もっと冷静....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
、 恐しき獣なれども檻の内に 餌をまつ見ればあはれなりけり 「こんな歌を詠む人も選ぶ人もどうかと思うね」と兄からいわれました。 観潮楼歌会は一、二年で....
妖怪学一斑」より 著者:井上円了
草でもよろしい、ある草を三品集めて、その草をもって天に向かって合掌し、一首の歌を詠む。すなわち、「朝日が下の三葉草付けると止まる血が止まる」(笑)と言って、この....
西航日録」より 著者:井上円了
に出席す。 明治三十六年一月一日、間島氏の宅にて元旦の雑煮を食す。よって狂歌を詠む。 正月にそなへる餅も喰ふ餅もみな盆餅と呼ぶぞおかしき 数の子あり、煮豆あ....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
「まづ歌は和国の風にて侍る上は、先哲のくれぐれ書き置ける物にも、優しく物あはれに詠むべき事ぞ見え侍るめる」とある。 そして、俊成は何処ででも独創でものをいって....
茂吉の一面」より 著者:宇野浩二
勝れた歌人になれば、)いかなる不幸に逢っても、どんなに悲歎にくれても、それを歌に詠むことが出来るのであるから、……と、私は、極めて当たり前のことを考えながら、し....