詠草[語句情報] » 詠草

「詠草〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

詠草の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
老妓抄」より 著者:岡本かの子
某女に紹介して俳句を習っている筈の老妓からこの物語の作者に珍らしく、和歌の添削の詠草が届いた。作者はそのとき偶然老妓が以前、和歌の指導の礼に作者に拵《こしら》え....
阿部一族」より 著者:森鴎外
、「家老衆はとまれとまれと仰せあれどとめてとまらぬこの五助|哉《かな》」と、常の詠草のように書いてある。署名はしてない。歌の中に五助としてあるから、二重に名を書....
婦人と文学」より 著者:宮本百合子
面があり、大衆小説には向かないと桃水にきわめをつけられたり、萩の舎塾の歌会なども詠草はいつも一番びりに出していたという素質こそ、芸術家一葉にとって非常に意義ふか....
父の手紙」より 著者:宮本百合子
プがあって、母は留守の父のテーブルの上にそのランプを明々とつけ、その上で雁皮紙を詠草のよう横に折った上へ、細筆でよく手紙を書いた。白い西洋封筒は軽い薄い雁皮の紙....
たより」より 著者:宮本百合子
の落日が木の梢に黄に輝く時、煉瓦校舎を背に枯草に座った私共が円くなって、てんでに詠草を繰って見た日を。 安永先生が浪にゆられゆられて行く小舟の様に、ゆーらりゆ....
ひととき」より 著者:宮本百合子
共六七人のものは、学校の裏の草の厚い様な所に安永さんを中心に円く座って、てんでに詠草の見っこをして居た。 その時、私の樫の木の歌の中に「空にひ入る」と云う言葉....
九条武子」より 著者:長谷川時雨
いさむ》さんが『白孔雀』巻末に書いた感想をひいてみると、 ――今その手録された詠草を見ると、「薫染《くんぜん》」に収められた歌以外のものに、かえって真実味に富....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
のもので、唐紙の巻紙に書いてあります。 浦千鳥 筆 右御出詠なさるべく候。過日の詠草御返し申上候。 十八日 森きみ子様美静 池水鳥 山松 右弐題御出詠|可被....
三枚続」より 著者:泉鏡花
の頃の不如意に、したくても出来ない師家への義理、紫の風呂敷包の中には、ただ清書と詠草の綴じたのが入っているばかりの仕誼、わけを知ってるだけに、ひがみもあれば気が....
私本太平記」より 著者:吉川英治
学びをもすすめていた。そしてこんどの上京には、ぜひ冷泉どのの門をたたいて、末長く詠草を見ていただくようにお願いせよと、手紙まで持たせられて来たのであった。 折....
私本太平記」より 著者:吉川英治
つの日か妻に手渡して給われ」と頼まれていた彼が幽居で手写した法華経一部と、和歌の詠草一帖とを、忘れずに持って西上したのであった。 だが。 あのさいは笠置、赤....
私本太平記」より 著者:吉川英治
は、いぜんからお親しい仲とみえ、ままここへもお顔を見せますし、小右京さまもお歌の詠草など持って、何かとよう行き来しておられまする」 こう聞くと右馬介はかえって....
私本太平記」より 著者:吉川英治
まする。今、かえりみてもぞっといたします。……これは、捕われて讃岐へ流される前の詠草ですが」 「どれ、見せい。なに、 思ひきや 手もふれざりし あづさ弓 おきふ....