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詩趣
「詩趣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
詩趣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「武蔵野」より 著者:国木田独歩
ほどに自分を動かしているのである。自分は武蔵野の美といった、美といわんよりむしろ
詩趣《ししゅ》といいたい、そのほうが適切と思われる。
二
そこで....
「芽生」より 著者:島崎藤村
方へ向かなく成った。お繁の亡くなった頃は、私もよく行き行きして、墓畔《ぼはん》の
詩趣をさえ見つけたものだが、一人死に、二人死にするうちに、妙に私は墓参りが苦しく....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
き換えた、そして数寄屋という語は「空き家」または「数奇家」の意味にもなる。それは
詩趣を宿すための仮りの住み家であるからには「好き家」である。さしあたって、ある美....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
たぐいを栽えているのもある。 釣荵は風流に似て俗であるが、東京の夏の景物として
詩趣と画趣と涼味とを多分に併せ持っているのは、かの虎耳草であることを記憶しなけれ....
「修禅寺物語」より 著者:岡本綺堂
て、年を経たるまま面目分明ならねど、いわゆる古色|蒼然たるもの、観来たって一種の
詩趣をおぼゆ。当時を追懐してこの稿成る。) 登場人物 面作師 夜叉王 夜叉....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
児たらずとせんや。吾儕はそれが絵の如き美しさと快さとを絶えず夢みて、ここに不断の
詩趣を味いつつあるのだ。 三日には大方の廻礼もおわり、浮世の義理をはなれた仲よ....
「安吾武者修業」より 著者:坂口安吾
もられ伝えられてきた剣法。日本の講談の中で異彩を放っているばかりでなく、牧歌的な
詩趣あふれ、殺伐な豪傑の中でユーモラスな存在ですらある。 私は馬庭という里は架....
「握った手」より 著者:坂口安吾
なった。 彼が考えすぎるにはワケがあった。松夫と綾子との出会いは甚だしく俗悪で
詩趣に欠けているのである。ある映画館であった。隣席の娘が愛くるしいので松夫は心が....
「小さな山羊の記録」より 著者:坂口安吾
ったせいである。 富士見のサナトリウムといえば、いかにも白樺にかこまれた高原の
詩趣にみちているようだが、実状は、高原のコヤシ臭い畑の中のもう廃屋に近いようなう....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
ませるだけの飾棚や、壁にかかっている見事な織物や金属製の飾物、どの一つにも豊かな
詩趣と、驚くばかりの贅が、こらされていた。つき当りのスタンドの上の壁の、水彩画の....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
果す一条の如き、大塚匠作父子の孤忠および芳流閣の終曲として余情|嫋々たる限りなき
詩趣がある。また例えば金光寺門前の狐竜の化石(第九輯巻五十一)延命院の牡丹の弁(....
「我家の園芸」より 著者:岡本綺堂
めである。 すすきは夏も好し、秋もよいが、冬の霜を帯びた枯すすきも十分の画趣と
詩趣をそなえている。枯れかかると直ぐに刈り取って風呂の下に投げ込むような徒はとも....
「薬前薬後」より 著者:岡本綺堂
湧いて来るのを禁じることが出来ない。 おなじ果物を運びながらも、東京の馬力では
詩趣もない、詩情も起らない。いたずらに人の神経を苛立たせるばかりである。 ....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
化の爛熟が産んだので、江戸時代の買妓や蓄妾は必ずしも淫蕩でなくて、その中に極めて
詩趣を掬すべき情味があった。今の道徳からいったら人情本の常套の団円たる妻妾の三曲....
「北と南に憧がれる心」より 著者:小川未明
等は憧がれなしには生きられない人々である。 小露地方や、北コーカサスの自然は、
詩趣に富んで、自由な気が彼等の村落生活に行きわたっていることは、トルストイ、ゴリ....