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誂え
「誂え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
誂えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
見て、 「茶店があります、一休みして参りましょう。」 「あすこへですか。」 「お
誂え通り、皺くちゃな赤毛布が敷いてあって、水々しい婆さんが居ますね、お茶を飲んで....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
その男を木戸の外まで呼びましたのでございます。その間に、この、あの、烏の装束をお
誂え遊ばしました。そして私がそれを着て出まして、指環を受取りますつもりなのでござ....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
ては不可ないですかな。」 「ああ、結構だよ。」 やがて、膳に、その塩焼と、別に
誂えた玉子焼、青菜のひたし。椀がついて、蓋を取ると鯉汁である。ああ、昨日のだ。こ....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
員の中に、芳名が列っていようと思う。私は、当日、小作の挿画のために、場所の実写を
誂えるのに同行して、麻布我善坊から、狸穴辺――化けるのかと、すぐまたおなかまから....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
っしゃる。 海辺は賑かでも、馬車が通って埃が立つ。閑静な処をお望み、間数は多し
誂え向き、隠居所を三間ばかり、腰元も二人ぐらい附く筈と、御子息から相談を打たっし....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
聞かせる。聞く方では、祝儀のかわりに、なくても我慢の出来る、片手とれた鍋の鋳掛も
誂えるといった寸法。小児に飴菓子を売って一手踊ったり、唄ったり、と同じ格で、もの....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
十二 「立って歩行く、雑談は始まる、茶をくれい、と呼ぶもあれば、鰻飯を
誂えたにこの弁当は違う、と喚く。下足の札をカチカチ敲く。中には、前番のお能のロン....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
らんなんだそうですけれど、作者だか、絵師さんだかの工夫ですか、意匠で、むかし風に
誂えたんでしょう、とおっしゃって、それに、雑誌にはいろいろの作が出ておりますけれ....
「橋」より 著者:池谷信三郎
売場の前へひょっこりと彼が現れた。 ――モーニングが欲しいんだが。 ――はあ、お
誂えで? ――今晩ぜひ要るのだが。 ――それは、…… 困った、といった顔つきで....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
手入をしない囲なぞの荒れたのを、そのまま押入に遣っているのであろう、身を忍ぶのは
誂えたようであるが。 (待て。) 案内をして、やがて三由屋の女中が、見えなくな....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
のである。 廉平は頂の靄を透かして、足許を差覗いて、渠等三人の西洋婦人、惟うに
誂えの出来を見に来たな。苫をふいて伏せたのは、この人々の註文で、浜に新造の短艇で....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
なか盛んでございました。尤もごく高価の品は鎌倉では間に合わず、矢張りはるばる京に
誂えたように記憶して居ります。 それから食物……これは只今の世の中よりずっと簡....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
するやら、玉を集めるやら、錦を縫わせるやら、香木の車を造らせるやら、象牙の椅子を
誂えるやら、その贅沢を一々書いていては、いつになってもこの話がおしまいにならない....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
の付近の若い馬などは及びもつかなかったのである。 イカバッドはそのような馬には
誂えむきの男だった。鐙が短かったので、両膝が鞍の前輪にとどくほど高くあがった。彼....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
くなすったッけ。 岡野へ寄ろうと、くらがり坂へかかった時は、別にそこで、という
誂えがあったわけではない。 いっそ、特にあの坂で、とでもいうことなら、いかにお....