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誇らか
「誇らか〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
誇らかの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
ながら、馬上に頭《こうべ》をめぐらして、後《しりえ》にののしり騒ぐ人々の群れを、
誇らかにながめやった。
それも無理はない。彼は、味方の破れるのを見ると、よしや....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
が、座敷の中へはいって来なかったなら、良雄はいつまでも、快い春の日の暖さを、その
誇らかな満足の情と共に、味わう事が出来たのであろう。が、現実は、血色の良い藤左衛....
「仮装観桜会」より 著者:佐左木俊郎
牛乳のように微《かす》かに温かで柔らかな空気の中に、桜の花はどこまでもおっとりと
誇らかに咲いているのであった。 花見の人たちはその下を潮騒《しおさい》のように....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
めからわかっていたのだ。その悠々たるおちつきぶりを見よ。赤銅色の頬には不敵にも、
誇らかな勝利の微笑さえ浮かんだではないか。 速力三十ノット。 もうすこしで、....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
しいつか何かの拍子で、二言、三言ことばをかわしたことがあった。彼女の姿は、美しく
誇らかで威厳の備わった娘として彼の記憶に残っていた。しかし彼の心を悩ましたものは....
「蜘蛛」より 著者:豊島与志雄
はどす黒い汚い色をしているのに、彼だけは、背と腹部とに幾筋もの金線をめぐらして、
誇らかに光り輝いている。多くの蜘蛛は昼間隠れて夜分姿を現わすのに、彼だけは、白昼....
「書かれざる作品」より 著者:豊島与志雄
あげられて、彼女は海に浮ぶ。当時他に比肩するもののない美丈夫なのだ。日本の近海を
誇らかに漫歩する。そのうちに日露戦争となり、日本海の海戦には、旗艦として僚艦の先....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
自分の能力をためすことは不精げに後《あと》回しとして、まず内心に咲き乱れてる花に
誇らかに酔って、陶然としてしまった。数か月来押えつけられていたのが、にわかに春が....
「母親」より 著者:豊島与志雄
彼女は、吾妻下駄で小股に歩いてゆく。態度はつつましいが、腰には力がこもり、そして
誇らかな微笑が頬に漂っている。 ――吉岡は酒の最後の一滴まで飲み干した。酔いに....
「博物誌」より 著者:岸田国士
らは、何がなんだかわからない。 傷ついた鷓鴣の羽が落ちて来て、ひとりでに、この
誇らかな猟師の帽子に刺さったとしても、私はそれがあんまりだとは思わない。 雨が....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
しの大事な方!」とか「わたしの小鳥さん!」とか言って呼んだり、その金髪をいかにも
誇らかに念入りに肩の上に振り分けてやったりしながら。 「それから、茶色服のお前さ....
「城」より 著者:カフカフランツ
ざしからきていたのだった。そのまなざしはそれ自体としていとわしいものではなくて、
誇らかで、その心を打ち明けようとしない点で正直なものであった。
「あなたはいつで....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
と伝えた。エセックス夫人と女王とは、二人ながら心配でいっぱいだった。エリザベスの
誇らかな心意気は、突然にも崩れた。もはやヨーロッパも白宮殿も、彼女になんの満足感....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
その「詩」は、隠者によって要求された詩である。当時としては、京都の中流公家の古く
誇らかな家の歴史の故に、下品で露骨な競争から退かねばならぬ宿命を持っていた人々、....
「はつ恋」より 著者:神西清
だほんの赤ん坊だったのだ。 その日は一日じゅう、わたしは堪らないほど浮き浮きと
誇らかな気持だった。のみならず、ジナイーダのキスの感触も、顔一面にありありと残っ....