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誘い込む
「誘い込む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
誘い込むの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人間失格」より 著者:太宰治
いて、二人の上衣を小母さんに乾かしてもらうようにたのみ、竹一を二階の自分の部屋に
誘い込むのに成功しました。 その家には、五十すぎの小母さんと、三十くらいの、眼....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
―兄はもう帰りましょう」 「ありがとう」と甲野さんは壁に物を云う。 「どうぞ」と
誘い込むように片足を後《あと》へ引いた。着物はあらい縞《しま》の銘仙《めいせん》....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
様子が馬鹿馬鹿しくなったので、とにかく出てそこいらを歩いてるうちに、運命が自分を
誘い込むような占《うら》ない者《しゃ》の看板にぶつかるだろうという漠然《ばくぜん....
「霜凍る宵」より 著者:近松秋江
方を見ながら、 「そりゃ三野村さん死なはった時には可哀そうにおしたで」と私をまで
誘い込むようにいうのであった。「けども死んだらあきまへんなあ。あんなに惚れていて....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
舎は日が暮れると必ず門を閉じるので、生徒は隙をみてそっと門をあけて、かの張鬼子を
誘い込む約束になっていた。その門をまだ明けないうちに、張鬼子はどこかの隙間から入....
「アンドロギュノスの裔」より 著者:渡辺温
何か呪文を唱えながら、三脚台の上で焼くことに依って、どんな男をでも、自分の寝床に
誘い込むことが出来た。ところが、或る日のこと、彼女は一人の若者を見初めたので、そ....
「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」より 著者:宮本百合子
俺達よりわるいんだ!」 こういう仲間に、ゴーリキイは祖母ゆずりの、聴きての心を
誘い込むような魅力のこもった話しかたで、よりよい人生への可能の希望を目醒まそうと....
「成長意慾としての恋愛」より 著者:宮本百合子
にはまった考えかたで、恋愛と青春の放埒と漠然混同し、その場その場で精神と肉体とを
誘い込む様々の模造小路を彷徨しつつ、身を堅める時は結婚する時という風な生き方であ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
これに励まされ来《きた》ったようですが、山がかえってこの男を、人間の悲哀に向って
誘い込むらしい。 磐城の連山の雲霧の彼方《かなた》に、安達ヶ原がある、陸奥《み....
「祭りの夜」より 著者:豊島与志雄
ーっとかげってくる。そのかげりが、暗くはないが、へんに深々とした感じで、人の心を
誘い込む。三十五歳ほどの女性の肉体の魅惑が、その底に潜んでるとも言える。――その....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
な香気を放散する。それは強くはあるが、またどこやら仄かなところがあり、人を深みに
誘い込むような匂である。自然の生命は樹木の枝々の端までも通っている。それを悟らせ....
「魔都」より 著者:久生十蘭
る。
人の心を撫でさするような憂鬱な真名古の声がほのぼのと続く。何か人を眠りに
誘い込むような奇妙な調子を持っているので。
実にどうも異様なやり方だと思うほか....
「『青丘雑記』を読む」より 著者:和辻哲郎
語り合う思いがある。悠々たる観の世界は否定の否定の立場として自他不二の境に我々を
誘い込むのである。....