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誘惑
「誘惑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
誘惑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
実際この幸福な中尉の顔へクラフト・エビングの全|語彙《ごい》を叩きつけてやりたい
誘惑さえ感じた。
「この言葉の起源になった、――ええと、マゾフと云いましたな。そ....
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
れたあの次郎が、おれの心もちを察してくれて、よしや沙金のほうから手を出してもその
誘惑に乗らないだけの、慎みを持ってくれる事と、いちずに信じ切っていた。が、今にな....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
に心がけて来た。が、そう思いながらもまた、一方には、その悪評を読んでみたいという
誘惑がないでもない。今、この風呂で、この小銀杏の悪口を聞くようになったのも、半ば....
「河童」より 著者:芥川竜之介
た中に小さい雄の河童が一匹、雌の河童を追いかけていました。雌の河童は例のとおり、
誘惑的|遁走《とんそう》をしているのです。するとそこへ向こうの街《まち》から大き....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
きつけていた。
僕はちょっとそのビスケットの※《におい》だけ嗅《か》いで見たい
誘惑を感じた。
「おい、僕にもそれを見せてくれ。」
「うん、こっちにまだ半分ある....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
に対する彼女の愛を感じはじめる。同時にまた目の前へ浮かび上った金色《こんじき》の
誘惑を感じはじめる。もう五分、――いや、もう一分たちさえすれば、妙子は達雄の腕《....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
玉やら、逞《たく》ましい月毛《つきげ》の馬やらが、はっきりと浮び上って来た。彼は
誘惑を避けるように、思わず眼をつぶりながら、二三度頭を強く振った。が、眼を開ける....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ればならぬ。
服装
少くとも女人の服装は女人自身の一部である。啓吉の
誘惑に陥らなかったのは勿論《もちろん》道念にも依《よ》ったのであろう。が、彼を誘....
「夢」より 著者:芥川竜之介
不思議にもはっきり浮き上っていた。わたしは土手伝いに歩きながら、おお声に叫びたい
誘惑を感じた。しかし勿論そんな
誘惑は抑えなければならないのに違いなかった。わたし....
「百合」より 著者:芥川竜之介
平の裾《すそ》を引いた。二本芽の赤芽のちんぼ芽の百合を見る、――このくらい大きい
誘惑はなかった。良平は返事もしない内に、母の藁草履《わらぞうり》へ足をかけた。藁....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
深く魂の中に喰い入りて、しばしば個性の主要部となるに至るもので、一たん肉感肉慾の
誘惑にかかった魂は、終にその奴隷とならずんば止まぬ。彼は到底清純無垢の境地に安住....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
魔などと云うのです?」 僕はこの一二年の間、僕自身の経験したことを彼に話したい
誘惑を感じた。が、彼から妻子に伝わり、僕もまた母のように精神病院にはいることを恐....
「久米正雄」より 著者:芥川竜之介
なしに心憎いものがある。いつも人生を薔薇色の光りに仄めかそうとする浪曼主義。その
誘惑を意識しつつ、しかもその
誘惑に抵抗しない、たとえば中途まで送って来た妓と、「....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
き何等の理由もない人を私が選んだ場合、誰かが私を疑うだろうか。 八月十五日――
誘惑!
誘惑が、私の身中を虫が這うように、這い※る。生きものが今死ぬという際に発....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
子に火事にも焼かれずに立っているのであろう。僕は殆どこの木の幹に手を触れてみたい
誘惑を感じた。のみならずその木の根元には子供を連れたお婆あさんが二人曇天の大川を....