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「誰一人〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

誰一人の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
の家に――しかも小さい庭のある門構えの家に住んでいた。けれども新らしい着物などは誰一人滅多に造らなかった。父は常に客にも出されぬ悪酒の晩酌に甘んじていた。母もや....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
様がこの摩利の教を御拡《おひろ》めになっていらっしゃろうなどとは、この広い洛中で誰一人存じて居《お》るものはございますまい。私《わたくし》でさえあなた様が御自分....
煙管」より 著者:芥川竜之介
持って内心、坊主共にねだられる事を予期しながら、揚々として登城した。 すると、誰一人、拝領を願いに出るものがない。前に同じ金無垢の煙管を二本までねだった河内山....
」より 著者:芥川竜之介
勿論《もちろん》お嬢さんや坊ちゃんはとうに床《とこ》へはいっています。いや、今は誰一人起きているものもありますまい。ひっそりした裏庭の芝生《しばふ》の上にも、た....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
を河下《かわしも》の方へ歩き出した。 二 河下の方へ歩き出した彼は、やがて誰一人飛んだ事のない、三丈ほども幅のある流れの汀《なぎさ》へ足を止めた。そこは一....
捨児」より 著者:芥川竜之介
》だ、と懇《ねんごろ》に話して聞かせたそうです。が、説教日は度々めぐって来ても、誰一人進んで捨児の親だと名乗って出るものは見当りません。――いや勇之助が三歳の時....
少年」より 著者:芥川竜之介
さらにまた震《ふる》え泣きに泣きはじめた。しかしもう意気地《いくじ》のない彼には誰一人好意を示すものはいない。のみならず彼等は口々に川島の言葉を真似《まね》しな....
さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
それと共に、云いようのない後悔の念が、心の底から動いて来るのを意識した。しかし、誰一人彼に同情してくれるものはない。彼の妻や子でさえも、彼のこの所作《しょさ》を....
卑怯者」より 著者:有島武郎
遊戯にふけっているのであろう。彼がそのそばをじろじろ見やりながら通って行っても、誰一人振り向いて彼に注意するような子供はなかった。彼はそれで少し救われたような心....
女仙」より 著者:芥川竜之介
たのはもちろんです。実際また彼女の身の上をはじめ、彼女が何をして暮らしているかは誰一人知るものもなかったのですから。 或風のない春の日の暮、書生はふと外へ出て....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
彼ほどに多くの哲学者に接したものは一人もなかった。幾何学上の作図や証明にかけては誰一人、しかもまた彼が満五ヶ年も師事していたエジプト数学者でさえも匹敵するものが....
春昼」より 著者:泉鏡花
ぞくして、余り見ていたくもなかったそうだが、自分を見懸けて、はじめたものを、他に誰一人いるではなし、今更帰るわけにもなりませんような羽目になったとか言って、懐中....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
する。菌の領した山家である。舞台は、山伏の気が籠って、寂としている。ト、今まで、誰一人ほとんど跫音を立てなかった処へ、屋根は熱し、天井は蒸して、吹込む風もないの....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
う。一たん神木となってからは、勿体なくもこの通り幹の周囲に注連縄が張りまわされ、誰一人手さえ触れようとせぬ。中には八幡宮を拝むと同時に俺に向って手を合わせて拝む....
式部小路」より 著者:泉鏡花
と手前勘に御遠慮を申上げ、お庭へ参って見ますると、かくの通。手前の外には、こう、誰一人拝見をいたしておりますものがございません。ほい、こりゃ違ったそうな、すれば....