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調和
「調和〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
調和の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
ある表情をした。それは又実際|文化竈《ぶんかかまど》や華奢《きゃしゃ》な皿小鉢と
調和しない悪臭を放っているのに違いなかった。お芳はお松を見なかったものの、少くと....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
切り抜ける安価な妥協的思想もないことはない。実際彼は公衆に向ってこの煮え切らない
調和説の背後に、彼の芸術に対する曖昧《あいまい》な態度を隠そうとしたこともある。....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
法とに共通した、一種の和洋|折衷《せっちゅう》が、明治初期の芸術に特有な、美しい
調和を示していた。この
調和はそれ以来、永久に我々の芸術から失われた。いや、我々が....
「河童」より 著者:芥川竜之介
ゆか》、セセッションまがいの祈祷机《きとうづくえ》、――こういうものの作っている
調和は妙に野蛮な美を具《そな》えていました。しかし僕の目をひいたのは何よりも両側....
「松江印象記」より 著者:芥川竜之介
IKE な湖水の水に変わるまで、水は松江を縦横に貫流して、その光と影との限りない
調和を示しながら、随所に空と家とその間に飛びかう燕《つばくら》の影とを映して、絶....
「路上」より 著者:芥川竜之介
はこの種の建物には珍しく、窓掛、絨氈《じゅうたん》、ピアノ、油絵などで、甚しい不
調和もなく装飾されていた。しかもそのピアノの上には、季節にはまだ早すぎる薔薇《ば....
「少年」より 著者:芥川竜之介
海は代赭色である。バケツの錆《さび》に似た代赭色である。――保吉はこう云う色彩の
調和に芸術家らしい満足を感じた。殊に乙姫《おとひめ》や浦島太郎《うらしまたろう》....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
そのたびにきっと飛び上った。こう言う彼等の戯《たわむ》れはこの寂しい残暑の渚と不
調和に感ずるほど花やかに見えた。それは実際人間よりも蝶《ちょう》の美しさに近いも....
「或る女」より 著者:有島武郎
ら降り始めた。それと入れ代わりに、帽子、上着、ズボン、ネクタイ、靴《くつ》などの
調和の少しも取れていないくせに、むやみに気取った洋装をした非番の下級船員たちが、....
「或る女」より 著者:有島武郎
を喜ばせる事であり、自分を喜ばせる事が倉地を喜ばせる事である、そうした作為のない
調和は葉子の心をしとやかに快活にした。何にでも自分がしようとさえ思えば適応しうる....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
《たちつらな》った間の空地に穴を掘りだした。鍬の土に喰い込む音だけが景色に少しも
調和しない鈍い音を立てた。妻はしゃがんだままで時々|頬《ほお》に来る蚊をたたき殺....
「悠々荘」より 著者:芥川竜之介
からみついたコッテエジ風の西洋館と――殊に硝子窓の前に植えた棕櫚や芭蕉の幾株かと
調和しているのに違いなかった。 しかしT君は腰をかがめ、芝の上の土を拾いながら....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
私自身の無為を感じていたからなのだ。そして何等かの手段を運らしてこの絶大の威力と
調和し若しくは妥協しようとさえ試みていたのだった。しかもそれは私の場合に於ては凡....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
の如くして右の人物が、精神的に次第に改造されて行き、どうやらわれ等の所期の目的と
調和して行くことになる。 無論|斯うした仕事に失敗は伴い勝ちで、われ等としても....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
た。巻煙草の煙は薔薇色の壁へかすかに青い煙を立ちのぼらせて行った。この優しい色の
調和もやはり僕には愉快だった。けれども僕は暫らくの後、僕の左の壁にかけたナポレオ....