» 調子外

「調子外〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

調子外の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
恐しき通夜」より 著者:海野十三
「オイ星宮君、十一時がきた!」と、此の時横合いから口を入れた大蘆原軍医の声は、調子外れに皺枯れていた。 「それでは私が、今夜の通夜物語の第三話を始めることにし....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
ていた。崖端のロマネスクの休亭は古城塞のように視覚から遠ざかって、これ一つ周囲と調子外れに堅いものに見えた。 七つ八つの金魚は静まり返って、藻や太藺が風の狼藉....
食魔」より 著者:岡本かの子
き壊すには極端な反撥が要った。それ故、一般に東京のモダンより、上方のモダンの方が調子外れで薬が強いとされていた。 鼈四郎はこの店に入浸るようになった。お互いに....
巴里の唄うたい」より 著者:岡本かの子
道で苦労している彼等には真面目に対手になってはいられなかった。中にはドュフランの調子外れのラ――ラ――ラ――を口真似するものさえあった。 「駄目かね、それじゃど....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
すこぶる困難の立場にあるもので、それがために言葉が多少粗暴になるのも、挙動が多少調子外れになるのも、まあ恕すべきであると考えたであろう。僕もまた、僕の一部的説明....
二階から」より 著者:岡本綺堂
めに脅やかされた。 夜が明けてから兵站部員に訊くと、彼は蛙であった。その鳴声が調子外れに高いので、初めて聴いた者は誰でも驚かされる、しかも滅多にその形を視た者....
オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
暗澹とした雲が、舞台を一面に覆い包んでしまった。 俳優達はどれもこれも、演技が調子外れになり、台詞の節度がバラバラになった。そして、詰まらない事が神経をたかぶ....
」より 著者:金子ふみ子
愛がりもしない。が、父は叱る時にはかなりひどい叱り方をしたが、可愛がる時にはまた調子外れの可愛がり方をした。この二つの性格のいずれが子どもの心をより多く捉えたで....
博物誌」より 著者:岸田国士
気がするのだろう。 そして、彼女はひっきりなしに、剣の切っ先のように空気を劈く調子外れの鳴き声をたてている。 時々、彼女は庭を出て、どこかへ行ってしまう。お....
風流仏」より 著者:幸田露伴
られて爰に生計の糸道も明き細いながら炊煙絶せず安らかに日は送れど、稽古する小娘が調子外れの金切声今も昔わーワッとお辰のなき立つ事の屡なるに胸苦しく、苦労ある身の....
稀有の犯罪」より 著者:小酒井不木
平衡を失いました。 「この死骸は」と、いきなり京山はいい出しました。その声が少し調子外れでありましたから、みんなは一斉に教授の顔を正視しました。すると教授は一層....
青鬼の褌を洗う女」より 著者:坂口安吾
コリする。カッコウだのホトトギスだの山鳩がないている。私はそんなものよりも青鬼の調子外れの胴間声が好きだ。私はニッコリして彼に腕をさしだすだろう。すべてが、なん....
或る男の手記」より 著者:豊島与志雄
いに会社の方へやって来るということは、私と彼女とのこれまでの関係からすれば、全く調子外れのものだった。来るなら自宅の方へ来そうなものだ、そして私の帰りが待ちきれ....
常識」より 著者:豊島与志雄
に抱いて、ステップはいい加減に、バンドのつまらない音楽に耳を澄した。そうした私の調子外れに、あなたは好奇な楽しみを覚えたのであろう、ちらと、眼ではいぶかしげな視....
囚われ」より 著者:豊島与志雄
った。彼は顧みて、自分と富子と、それから恒雄との間を思ってみた。そして其処に何か調子外れたような不安を見た。 「もう下らない話は止しましょう。」と暫くして恒雄が....