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「諦観〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

諦観の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
眼を我に挙げ、耳と尾とを動かして訴えてやまず。その哀々《あいあい》の状《じょう》諦観視するに堪えず。彼はたして那辺《なへん》より来れる。思うに村人ことごとく眠り....
狂言の神」より 著者:太宰治
悶悶でもない、厳粛でもない、恐怖でもない、刑罰でもない、憤怒《ふんぬ》でもない、諦観でもない、秋涼でもない、平和でもない、後悔でもない、沈思でもない、打算でもな....
さようなら」より 著者:田中英光
とか(神が汝の為にあれ)との祈りや願いを同時に意味し、日本の「さようなら」のもつ諦観的な語感とは比較にならぬほど人間臭いし明るくもある。「さようなら」とは、さよ....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
かな、ここに、久遠の女性を求めようとする一人があったとしよう。しかし、その精神の諦観的な美しさには、野心も反抗も憤怒も血気も、いっさいが、堰を切ったように押し流....
般若心経講義」より 著者:高神覚昇
ならよいが心痛するのです。 死ぬことを忘れていてもみんな死に ですから、死への諦観は、当然できておらねばならぬわけです。因縁ということくらい、十分に考えておら....
鉄面皮」より 著者:太宰治
きまった。 (前略)あのお方の御環境から推測して、厭世だの自暴自棄だの或いは深い諦観だのとしたり顔して囁いていたひともありましたが、私の眼には、あのお方はいつも....
技術へ行く問題」より 著者:戸坂潤
を見世物のように巡行しなければならなくなった。併し夫人は、之でいいのだと清々しく諦観しているのである。 人類のために解放した筈のラジウム製造のパテントが、アメ....
学生と先哲」より 著者:倉田百三
洋の血と精神に育った予言者であったのだ。大衆に失望して山に帰る聖賢の清く、淋しき諦観が彼にもあったのだ。絶叫し、論争し、折伏する闘いの人日蓮をみて、彼を奥ゆかし....
生活と一枚の宗教」より 著者:倉田百三
とはたいへん違っている。宗教の着目すべきところは、そういう真実のありさま、「実相諦観」実際のありさまを諦観する。諦観というものは諦めるという。よく見るということ....
大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
めざめた妻は、色々な悩み、矛盾に包まれつつ尚、伝統と子とを断ちきれず、ただ忍苦と諦観の道をどこ迄もふみしめてゆく。人形の家のノラともならずの中七に苦悩のかげこく....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
気のように悶え悩んでおりましたが、そうした死の恐怖は、やがて悶え尽きると、静かな諦観的な気持に変ってゆくのでした。 ところが、そうした墓場のような夜。艇長は士....
諦めている子供たち」より 著者:坂口安吾
したりするが、いま書いたのは新潟市の方言だ。新潟の子供たちは小にしてすでに甚しく諦観が発達しており、こういう言い方をするのが決して珍しくはないのである。それとい....
智恵子の半生」より 著者:高村光太郎
そういう渦巻の中で、宿命的に持っていた精神上の素質の為に倒れ、歓喜と絶望と信頼と諦観とのあざなわれた波濤の間に没し去った。彼女の追憶について書く事を人から幾度か....
翻訳の生理・心理」より 著者:神西清
えることを強制されているからである。そこで単色版的飜訳という頗《すこぶ》る便利な諦観《ていかん》が、原則として飜訳の救いとなって現われるということになる。しかし....
寝床〔扉の言葉〕」より 著者:種田山頭火
つた 霜夜の寝床が見つからない そうろうとして歩きつづけていた私は、私相応の諦観は持っていたけれど、時としてこういう嘆息を洩らさずにはいられなかった。 人....