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謄写版
「謄写版〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
謄写版の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「父」より 著者:芥川竜之介
「午前六時三十分上野停車場前集合、同五十分発車……」こう云う箇条が、学校から渡す
謄写版《とうしゃばん》の刷物《すりもの》に書いてある。
当日になると自分は、碌....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
。とかくにこの種の痴漢が出没するから婦人の夜間外出は注意しろと、町内の組合からも
謄写版の通知書をまわして来たことがある。わたしの住んでいる百人町には幸いに火災は....
「工場細胞」より 著者:小林多喜二
ない。 ――暇な人間も多いんだな。 ――鈴木君、顔を出すと危いど。 河田が
謄写版刷りの番号を揃えていたが、顔をあげた。 ――顔を出すと危いか。ハヽヽヽ、....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
は依然として不穏文書出版物は後を絶たない。例えば三六年七月には東京商大の某教授が
謄写版刷りの不穏文書を配布して召喚された、等々。 不穏文書と密接な関係のあるも....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
くことは、やめられなかった。そのため私は教場でたびたびたたされた。頭の上に、重い
謄写版の鑢をのせられ、一時間中黒板の横にたったこともあった。しかし別に恥しいとは....
「砂糖泥棒」より 著者:黒島伝治
。」 「貯金の規約がこういうことになっとるんじゃ。」と、杜氏は主人が保管している
謄写版刷りの通帳を与助の前につき出した。その規約によると、誠心誠意主人のために働....
「『十八時の音楽浴』の作者の言葉」より 著者:海野十三
びりちびりと出している。たいへん読者からの反響があって、雑誌が出ると、その問題を
謄写版に刷り、同僚たちにくばって、早く正しく解く競争をやっているという投書があっ....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
生徒の父兄であるとは、恐らく彼自身でも考えていなかったろう。列席した父兄の名簿が
謄写版ずりにして渡されていたが、その中には、平尾、田上、新賀、梅本、大山、そのほ....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
る。 二 ふたつの顔 次郎は今朝から事務室にこもって、第十回の塾生名簿を
謄写版で刷っていたが、やっとそれが刷りあがったので、ほっとしたように火鉢に手をか....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
れる。心から一枚のハガキを書き、身に沁みて半夜の宴が語りたい。 幼稚な演説会。
謄写版ずりの回覧雑誌、山登りと野営(キャンプとはまだ言わなかった)幻燈器械と印象....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
間位しか寝らずに、「岸野小作争議団」結成のために馳けずり廻った。ビラを書いたり、
謄写版の原紙を書いたり、刷ったりした。――健は始めての色々な経験で興奮していた。....
「郊外生活の一年」より 著者:岡本綺堂
。とかくにこの種の痴漢が出没するから婦人の夜間外出は注意しろと、町内の組合からも
謄写版の通知書をまわして来たことがある。わたしの住んでいる百人町には幸に火災はな....
「審判」より 著者:カフカフランツ
いた。ほとんど泣きださんばかりに小使たちのところへ走ってゆくと、彼らはのんびりと
謄写版の仕事をしていたが、驚いて仕事の手を休めた。 「物置部屋を片づけちまってく....
「春雪の出羽路の三日」より 著者:喜田貞吉
郷里の故事を調査せられ、現に秋田県史蹟調査委員となって、最近には「雄勝城址考」の
謄写版刷をも寄せられたほどの熱心なお方だ。雪で踏査が駄目ならば、お目にかかってお....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ら取り騒いだが、大洋の黎明は何ともいえずすがすがしかった。そのうちに珈琲が来る。
謄写版刷の高麗丸新聞が配られる。この第二日もいい凪であった。私は午後無線電報を続....