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「謙譲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

謙譲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
持っていた。 彼の無言でいるのを見た伝右衛門は、大方《おおかた》それを彼らしい謙譲な心もちの結果とでも、推測したのであろう。愈《いよいよ》彼の人柄に敬服した。....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
無礼を謝した。――こう云う逸事を学んだのである。 当時のわたしはこの逸事の中に謙譲の美徳を発見した。少くとも発見する為に努力したことは事実である。しかし今は不....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
そしてその夜は、君のいかにも自然な大きな生長と、その生長に対して君が持つ無意識な謙譲と執着とが私の心に強い感激を起こさせた。 次の日の朝、こうしてはいられない....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
てのものが悪くなったのが銅時代にはますます悪くなり、ついに恐ろしい鉄時代が来た。謙譲、忠誠、真実は地上から飛び去り、虚偽、暴戻、背信、そして飽くことを知らぬ黄金....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
。今日、特に日本人に注意して頂きたいのは、日本の国力が増進するにつれ、国民は特に謙譲の徳を守り、最大の犠牲を甘受して、東亜諸民族が心から天皇の御位置を信仰するに....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
る。この動作は、身|貴きも卑しきも同様にすべての客に負わされる義務であって、人に謙譲を教え込むためのものであった。席次は待合で休んでいる間に定まっているので、客....
雛妓」より 著者:岡本かの子
したわ。死にたくなさそうだったようですわ」 それから、父は隠居所へ隠居してから謙譲を守って、足袋や沓下は息子の穿き古しよりしか穿かなかったことや、後のものに迷....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ッチリした眼にも、凝視するような鋭さがない。総じてこの婦人には、憂鬱などこかに、謙譲な性格が隠されているように思われた。以上の三人は、年齢四十四、五と推察された....
七宝の柱」より 著者:泉鏡花
く貴く、正に、まさしく彼処におわする……天女の御前へ、われらを導く、つつましく、謙譲なる、一個のお取次のように見えた。 かくてこそ法師たるものの効はあろう。 ....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
なお面影は透き、色香は仄めく……心地すれば、誰憚るともなく自然から俯目に俯向く。謙譲の褄はずれは、倨傲の襟より品を備えて、尋常な姿容は調って、焼地に焦りつく影も....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
いと内証で、人に知らせないように遣る、この早業は、しかしながら、礼拝と、愛撫と、謙譲と、しかも自恃をかね、色を沈静にし、目を清澄にして、胸に、一種深き人格を秘し....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
に酌をしておあげなさい。」 「はい。」 が、また娘分に仕立てられても、奉公人の謙譲があって、出過ぎた酒場の給仕とは心得が違うし、おなじ勤めでも、芸者より一歩|....
民衆芸術の精神」より 著者:小川未明
して勇敢な戦士の赤誠を心ある人々の胸から胸へ伝えている。 こうした涙ぐましい、謙譲にして真摯の芸術こそ、今日のような虚偽と冷酷と圧迫と犠牲とを何とも思っていな....
純情主義を想う」より 著者:小川未明
人生に対する、前提の同じからざるによるものがある。 チャイコフスキイ団の如き、謙譲と真実と愛によってのみ民衆は教化せらるゝものと信じた。そして、彼等は、まさに....
」より 著者:織田作之助
気持をひそかに抱いていた。そして、それは彼の自尊心とぴたりと寄り添うていて、勿論謙譲からではなかった。自尊心の均衡によって初めて自分自身を感ずることの出来る彼は....