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譬
「譬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
譬の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
そめどの》の御后《おきさき》に鬼が憑《つ》いたなどと申します通り、この沙門の事を
譬《たと》えて云ったのでございます。
そう申せば私が初めてその沙門を見ましたの....
「二人小町」より 著者:芥川竜之介
うかわかりません。あなたがたは虎《とら》よりも強い。内心|如夜叉《にょやしゃ》の
譬《たとえ》通りです。第一あなたがたの涙の前には、誰でも意気地《いくじ》がなくな....
「或る女」より 著者:有島武郎
たしを妻にしたいんですって、義一さん、男ってそれでいいものなんですか。まあね物の
譬《たと》えがですわ。それとも言葉ではなんといってもむだだから、実行的にわたしの....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
る処。それが為にこうして出向いた、真砂町の様子を聞き度さに、特に、似たもの夫婦の
譬、信玄流の沈勇の方ではないから、随分|飜然と露れ兼ねない。 いざ、露れた場合....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
くその質を省みない。表現材料の精選よりもその排列に重きをおく。「始めて美人を花に
譬えた人は天才であるが、二番目に同じことをいった人は馬鹿だ」とヴォルテールがいっ....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
産毛の様な髯が生い茂って居る。下※の大きな、顴骨の高い、耳と額との勝れて小さい、
譬えて見れば、古道具屋の店頭の様な感じのする、調和の外ずれた面構えであるが、それ....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
飾った黄金の鯱ほどに見えようと思う。 美女 あの、人の目に、それが、貴方? 公子
譬喩です、人間の目には何にも見えん。 美女 ああ、見えはいたしますまい。お恥かし....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
破れた釣鐘ほどあって、のう、手頃には参らぬ。」 と云った。神に使うる翁の、この
譬喩の言を聞かれよ。筆者は、大石投魚を顕わすのに苦心した。が、こんな適切な形容は....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
と言うのを一見に及ぶと、片隅に立掛けた奴だが、大蝦蟆の干物とも、河馬の木乃伊とも
譬えようのねえ、皺びて突張って、兀斑の、大古物の大かい革鞄で。 こいつを、古新....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
ています、か、お前さんは酔ってるね、だか分らない。 「やあ。」 と、渡りに船の
譬喩も恥かしい。水に縁の切れた糸瓜が、物干の如露へ伸上るように身を起して、 「―....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
えているのは、特に緞子の袴を着した。 盛装した客である。まだお膳も並ばぬうち、
譬喩にもしろ憚るべきだが、密と謂おう。――繻子の袴の襞※とるよりも――とさえいう....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
長く吠えた。その声はさも希望のなさそうな、単調な声であった。その声を聞くものは、
譬えば闇の夜が吐く溜息を聞くかと思った。その声を聞けば、何となく暖かい家が慕わし....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
掴えたのは一疋の小さな蟻。 「おいらのせいじゃあないぞ、何だ、蟻のような奴が、
譬にも謂わあ、小さな体をして、動いてら。おう、堪忍しねえ、おいらのせいじゃあない....
「活人形」より 著者:泉鏡花
くようなりしが、怪しいかな影法師のごとき美人静々と室の中に歩み出でたり。この幻影
譬えば月夜に水を這う煙に似て、手にも取られぬ風情なりき。 折から畳障りの荒らか....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
った紅葉の間から躯のこなしを様々にかえる。その中に自分の居ることを発見し、驚愕|
譬えようがないといった風に慌てて枝を離れて、一声高く鳴き声を山中の気に顫わして矢....