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谷あい
「谷あい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
谷あいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春」より 著者:芥川竜之介
。広子は汽車に揺《ゆ》られている今でも、篤介のことを考えると、何か急に妹との間に
谷あいの出来たことを感ずるのだった。
篤介は広子にも顔馴染《かおなじ》みのある....
「火星兵団」より 著者:海野十三
そのうちに、もうもうとたちこめていた十号ガスのかたまりが、風に吹かれて、だんだん
谷あいの方へすべっていった。そうして、そのあとから、大合戦のあとの血なまぐさい戦....
「人造人間エフ氏」より 著者:海野十三
つかう長い梯子をまっすぐ上にのばし、その上から探照灯でもって、エフ氏の逃げこんだ
谷あいを照らしていたが、その明るい光は、一本や二本でなく、方々から同じところに集....
「火の扉」より 著者:岸田国士
彼女がいくら迷惑がつても、いつこう耳をかさぬ。 しかたがなしに、ついて行くと、
谷あいの一段低くなつたところに、さゝやかなわらぶきの一軒家があつて、主婦らしい中....
「くぐつ名義考」より 著者:喜田貞吉
う久久都彦・久久都媛の如く、普通は水がかりのよい、また農民の捨てて顧みない山間の
谷あいにその住居の地を求めて、多くは谷の者であったのであろう。そして自分は、天下....
「葛の葉狐」より 著者:楠山正雄
をとぼとぼと歩いて行きました。しばらく行くと、やがて森が尽きて、山と山との間の、
谷あいのような所へ出ました。体中にうけた傷がずきんずきん痛みますし、もう疲れきっ....
「氷河」より 著者:黒島伝治
れられて、新しい雪にぼこ/\落ちこみながら歩いて行った。一群の退院者が丘を下って
谷あいの街へ小さくなって行くと、またあとから別の群が病院の門をくゞりぬけて来た。....
「紫大納言」より 著者:坂口安吾
悩むことがないのであった。 一夜、それは夏の夜のことだった。深草から醍醐へ通う
谷あいの径を歩いていると、にわかに鳴神がとどろきはじめた。よもの山々は稲妻のひか....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
太陽は沈みかけた。私たちはドランス河を過ぎ、小山の深い割れ目やもっと低い山の
谷あいを通っている水路を眺めた。アルプス山系はこのあたりでは湖に近く迫っていて、....
「風呂供養の話」より 著者:田中貢太郎
中国山脈といっても、播磨と但馬の国境になった
谷あいの地に、世間から忘れられたような僅か十数戸の部落があったが、生業は云うまで....
「あひると猿」より 著者:寺田寅彦
去年の夏|信州沓掛駅に近い湯川の上流に沿うた
谷あいの星野温泉に前後二回合わせて二週間ばかりを全く日常生活の煩いから免れて閑静....
「三斜晶系」より 著者:寺田寅彦
に増すから、電線の高さでは人間の感ずるよりはいくらか強い気流があるには相違ない。
谷あいの土地であるから地形により数町はなれると風向がよほどちがう場合が多い。そう....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
洗湯はこの声の発する辺《へん》に相違ないと断定したから、松薪と石炭の間に出来てる
谷あいを通り抜けて左へ廻って、前進すると右手に硝子窓《ガラスまど》があって、その....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
蒼《うっそう》たる樹立のつづき。
笄橋《こうがいばし》。
ここ青山長者ヶ丸の
谷あいの小溝にかかっている橋で、国府の谷橋の転じたものであろうといわれているが―....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
ます。 昼なお暗いという形容は、ここにきてまことに真。 小みちを下りつくした
谷あいの木かげに、先ごろから、木口のいろも白い一軒の造作小屋が建てられて。 ど....