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豊か
「豊か〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
豊かの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
る。
女は敏子《としこ》よりも若いらしい。雨に洗われた朝日の光は、その肉附きの
豊かな肩へ、――派手《はで》な大島の羽織の肩へ、はっきり大幅に流れている。それが....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
《さばく》ではない。素朴《そぼく》な野薔薇《のばら》の花を交《まじ》えた、実りの
豊かな麦畠である。おぎんは両親を失った後、じょあん孫七の養女になった。孫七の妻、....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
す》が、はっきりと記憶に残っています。そう云えばもう一つ、その頭の上の盆提灯が、
豊かな胴へ秋草の模様をほんのりと明《あかる》く浮かせた向うに、雨上りの空がむら雲....
「或る女」より 著者:有島武郎
枚一枚の重さを計って支払いするような注意をしていた。それだのに目の前に異国情調の
豊かな贅沢品《ぜいたくひん》を見ると、彼女の貪欲《どんよく》は甘いものを見た子供....
「或る女」より 著者:有島武郎
》して、恵み深い日の目にあっても開きようがなくなっていた。そんな間を二人は静かな
豊かな心でさまよった。風のない夕暮れなどには苔香園の表門を抜けて、紅葉館前のだら....
「私の父と母」より 著者:有島武郎
思う。
母の芸術上の趣味は、自分でも短歌を作るくらいのことはするほどで、かなり
豊かにもっている。今でも時々やっているが、若い時にはことに好んで腰折れを詠《よ》....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
まして。」 「存分にすれば蹴殺すばかりよ。」 と吐出すように云って、はじめて、
豊かに煙を吸った。 「じゃ恐入ったんだな。 内に蔦吉が居るんだな。 もう陳じ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
君にはわかりいい。ある時には君が使っている日本語そのものよりももっと感情の表現の
豊かな平明な言葉で自然が君に話しかける。君はこの涙ぐましい心持ちを描いてみようと....
「親子」より 著者:有島武郎
。父はそれには別に何も言わなかったが、黙ったまま鋭く眼を光らした。それから食膳の
豊かすぎることを内儀さんに注意し、山に来たら山の産物が何よりも甘いのだから、明日....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
いる人には、愛するという行為に一種の自己満足を感ずるが故に、愛する人の受ける心の
豊かさは二倍になると主張するなら、それは愛の作用を没我的でなければならぬと強言す....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
迎えて、そうして所内を案内してくれた。西洋人にしては短躯で童顔鶴髪、しかし肉つき
豊かで、温乎として親しむべき好紳士であると思われた。住宅が研究所と全く一つの同じ....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
紋じゃ。手には小手、脚にはすねあてをしているわ……大森彦七じゃ。南無妙、」 と
豊かに目を瞑って、鼻の下を長くしたが、 「山頬の細道を、直様に通るに、年の程十七....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
が済むと、横笛を吹いたりして楽しんでおった。 ファラデーは暇さえあれば、智識を
豊かにすることを努めておった。既に一八一三年にはタタムの発起にかかる市の科学界に....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
細い褄先が柔かくしっとりと、内端に掻込んだ足袋で留まって、其処から襦袢の友染が、
豊かに膝まで捌かれた。雪駄は一ツ土に脱いで、片足はしなやかに、草に曲げているので....
「県歌 信濃の国」より 著者:浅井洌
国の固めなり 三 木曽の谷には真木茂り 諏訪の湖には魚多し 民のかせぎも
豊かにて 五穀の実らぬ里やある しかのみならず桑とりて 蚕飼いの業の....