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豊饒
「豊饒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
豊饒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
言葉を呟いた。そしてやおら立上った。その山は確に葉守《はもり》の神もいそしみ護る
豊饒な山に違いない。そしてまた、そこに鎮まる岳神も、嘗《かつ》て姉の福慈の女神と....
「高山の雪」より 著者:小島烏水
が、高山特得ともいうべきは、空の濃碧であること、色彩の光輝あること、植物の変化と
豊饒なることなどが、その背景《バック》になっていることで、北寒地方の雪といえども....
「演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
条件をよく記憶しておくことが必要である。 しかしかくして得た予備知識がどんなに
豊饒であろうとも、それがただちに俳優に対する評価を決定する力になるとはかぎらない....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
な設備で取りかかった。 和金の清洒な顔付きと背肉の盛り上りを持ち胸と腹は琉金の
豊饒の感じを保っている。 鰭は神女の裳のように胴を包んでたゆたい、体色は塗り立....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
―娘時代のかの女の歌より)精神から見放しにされたまま、物足りなさに啜り泣いていた
豊饒な肉体――かの女が規矩男のその肉体をまざまざ感じたその日、かの女は武蔵野へ規....
「河明り」より 著者:岡本かの子
来て、いろいろの煩悩も起ります。けれどもそういうものの起ったとき、無暗にこれ等の
豊饒な果ものにかぶりつくのです。暴戻にかぶりつくのです。すると、いつの間にか慰め....
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
を奨励して置きながら、四、五寸も掘り返せば、下が粘土ばかりの土地に放り出される。
豊饒な土地には、もう立札が立っている。雪の中に埋められて、馬鈴薯も食えずに、一家....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
に産したものだが、今濫採されて、稀少になったものだそうで、今のところ、ここが最も
豊饒な産地であろうと語られた。 未だ時間はあるが、もうこの天候では泊まるより外....
「転機」より 著者:伊藤野枝
。そして土地は衰え果ててもとのままに横たわっている。 「なぜこのように広い、その
豊饒な土地をこんなに惨めに殺したものだろう?」 もとのままの土地ならば、この広....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
川の岸に沿って歩いていた。 それで歩きながらわたしの目は両側を限っている丘や、
豊饒な田畑よりも、よけい水の上に注がれていた。 わたしたちがアルルとか、タラス....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
れはそれで好いと思い返しても見る。芸術の複雑性はそこから生まれて来る。その作用は
豊饒でなくてはならない。ここに芸術のコルヌコピアがある。打出の小槌がある。 鶴....
「良寛様の書」より 著者:北大路魯山人
、ともすると遊戯にふけりたがる大雅は、書道を自己の手すさびのおもちゃにしすぎて、
豊饒な天性の技能をいたずらに浪費する癖があり、真摯そのもののみである良寛様とはイ....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
が好い。海岸に整列させて
検閲する。お前は先へ行くが好い。
神聖なエウロタ川の、
豊饒な岸に
どこまでも沿うて、湿った牧場の敷物の上に
馬を駆って、昔ラケデモンが....
「新童話論」より 著者:小川未明
することはできないのであります。 すべての空想が、その華麗な花と咲くためには、
豊饒の現実を温床としなければならぬごとく、現実に発生しない童話は、すでに生気を失....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
体とて同じことであります。そして、その行き当った「空」の世界は、その自由さ、その
豊饒さ、創造力ある人間にとっては無限に肥えふとった宝田であります。いかなる種子も....