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「貝殻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

貝殻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
一本のマッチの火は海松《みる》ふさや心太艸《てんぐさ》の散らかった中にさまざまの貝殻を照らし出していた。O君はその火が消えてしまうと、又新たにマッチを摺《す》り....
」より 著者:芥川竜之介
間、黙った。青侍は、爪で頤《あご》のひげを抜きながら、ぼんやり往来を眺めている。貝殻のように白く光るのは、大方《おおかた》さっきの桜の花がこぼれたのであろう。 ....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
瞳に集めて、やはりこちらを見返すようでしたが、見る見る内に形が薄くなって、最後に貝殻のような※《まぶた》が落ちると、もうそこには電柱ばかりで、何も怪しい物の姿は....
或る女」より 著者:有島武郎
べて見たり、掻巻《かいまき》を整えてやったりした。海の底に一つ沈んでぎらっと光る貝殻《かいがら》のように、床の上で影の中に物すごく横たわっている鏡を取り上げてふ....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
受けて――その他の地層ができた。海は初め全地球を覆っていたから今日至る所で古昔の貝殻が発見される。地殻の陥落のために表面の高低ができて、その最も低い部分を大洋が....
脳の中の麗人」より 著者:海野十三
わした。セザンヌが描いた南フランス風景の額がかかっている。南洋でとれためずらしい貝殻の置き物がある。本箱には、ぎっしりと小説本が並んでおり、机のうえには杉材でこ....
地球要塞」より 著者:海野十三
ばらしい流線型の自動車に、乗り込んだ。 これは完全流線型というやつで、二枚貝の貝殻一つを、うんと縦に引伸し、そして道路の上に伏せた――といったような恰好であっ....
半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
ずると鰯の山を吸込むと、五|斛、十斛、瞬く間に、満ちみちた鰯が消えて、浜の小雨は貝殻をたたいて、暗い月が砂に映ったのです。(まだあるか、)と仰向けに起きた、坊主....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
ている。咽喉は裂け、舌は凍って、潮を浴びた裙から冷え通って、正体がなくなる処を、貝殻で引掻かれて、やっと船で正気が付くのは、灯もない、何の船やら、あの、まあ、鬼....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
と――あすこがもう水道橋――三崎|稲荷の朱の鳥居が、物干場の草原だの、浅蜊、蜆の貝殻の棄てたも交る、空地を通して、その名の岬に立ったように、土手の松に並んで見通....
」より 著者:池谷信三郎
とかいうことを考えていた。見下した都会の底に、いろいろの形をした建物が、海の底の貝殻のように光っていた。 無数の伝書鳩の群れが、澄みきった青空の下に大きく環を....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
離がたった五六|間、あたりにはきれいな砂が敷きつめられていて、所々に美しい色彩の貝殻や香いの強い海藻やらが散ばっているのです。 『まるきり三浦の海岸そっくり……....
故郷」より 著者:井上紅梅
寒くていけませんが、夏になったらわたしの処へ被入っしゃい。わたしどもは昼間海辺に貝殻取に行きます。赤いのや青いのや、鬼が見て恐れるのや、観音様の手もあります。晩....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
再び引返してその音信は伝えまい。 従って砂を崩せば、従って手にたまった、色々の貝殻にフト目を留めて、 君とまたみる目おひせば四方の海の…… と我にもあらず口ず....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
から颯と靡き、颯と靡き、颯と靡く反対の方へ漕いで漕いで進んだが、白珊瑚の枝に似た貝殻だらけの海苔粗朶が堆く棄ててあるのに、根を隠して、薄ら蒼い一基の石碑が、手の....