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「財嚢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

財嚢の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
文芸委員は何をするか」より 著者:夏目漱石
いわゆる文壇の不振とは、文壇に提供せられたる作物の不振ではない。作物を買ってやる財嚢《ざいのう》の不振である。文士からいえば米櫃《こめびつ》の不振である。新設さ....
道草」より 著者:夏目漱石
書斎の机の上から自分の紙入を持って来た。一家の会計を司《つかさ》どっていない彼の財嚢《ざいのう》は無論軽かった。空のまま硯箱《すずりばこ》の傍《そば》に幾日《い....
田舎教師」より 著者:田山花袋
ゆ。 四日――万朝報の米調べ発表。玄米一升七三二五〇粒。△今年は倹約せんと思ふ。財嚢のつねに虚なるは心を温めしむる現象にあらず。しょせん生活に必要なるだけの金は....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
だ。拙者は足利《あしかが》の田山白雲という貧乏絵師だが、今日はこれからなけなしの財嚢《ざいのう》を傾けて、君のためにおごりたいのだ、ぜひつき合ってくれ給え」 ....
長崎の印象」より 著者:宮本百合子
廻った。臼杵から先、中津の自性寺を見、福岡の友でも訪ねるか、いずれにせよ、軽少の財嚢に準じて謙遜な望みしか抱いていなかった。臼杵の、日向灘を展望する奇麗な公園か....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
で学問の研究をつづけようとして、イタリーのずっと南部の地方から遙ばると出て来た。財嚢のはなはだ乏しいジョヴァンニは、ある古い屋敷の上の方の陰気な部屋に下宿を取る....
クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
れを観察して見た)、弗箱や、鍵や、海老錠や、台帳や、証券や、鋼鉄で細工をした重い財嚢やで出来ていた。彼の体躯は透き通っていた。そのために、スクルージは、彼を観察....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
けられる。しかしフランス中流のカトリック教徒の田舎《いなか》紳士の間では、いつも財嚢《ざいのう》と財嚢との捜し合いである。しかもなんのためであるか? 憐《あわ》....
女難」より 著者:国木田独歩
が、『お前腹がすきはせんか、腹がすいたら餅をお喰べ、出して上げようか』と言って合財嚢の口を開きかけます。私が、『腹はすかない』と言えば、『そんなことを言わないで....
二都物語」より 著者:佐々木直次郎
っていた。それは、一切のものはことごとく彼の路を歩まねばならぬ――彼自身の権力と財嚢とを肥す方へ行かねばならぬ、というのであった。総体から見たものと箇々のものと....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
兵衛と手を分ったのは維新早々であったが、その頃は伊藤もまだ盛んであったから椿岳の財嚢もまたかなり豊からしかった。浅草の伝法院へ度々融通したのが縁となって、その頃....
六号室」より 著者:瀬沼夏葉
方は何位財産をお所有ちですか?』 問われて、アンドレイ、エヒミチは黙したまま、財嚢の銭を数え見て。『八十六|円。』 『否、そうじゃないのです。』ミハイル、アウ....