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「貧し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

貧しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
母は一粒種の彼を産んだ後さえ、一滴の乳も与えなかった。のみならず乳母を養うことも貧しい彼の家の生計には出来ない相談の一つだった。彼はその為に生まれ落ちた時から牛....
」より 著者:芥川竜之介
妙に目ばかり赫《かがや》かせた、――つまり猿じみた青年だった。のみならず身なりも貧しかった。彼は冬も金釦《きんボタン》の制服に古いレエン・コオトをひっかけていた....
尼提」より 著者:芥川竜之介
う髪の黄ばみかけた尼提《にだい》はこう言う除糞人の一人である。舎衛城の中でも最も貧しい、同時に最も心身の清浄《しょうじょう》に縁の遠い人々の一人である。 ある....
おしの」より 著者:芥川竜之介
々お願いの筋がございまして。」 女は慇懃《いんぎん》に会釈《えしゃく》をした。貧しい身なりにも関《かかわ》らず、これだけはちゃんと結《ゆ》い上げた笄髷《こうが....
或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
》へピアノを弾きたさに行ったのですよ。云わばピアノを愛しただけなのですよ。何しろ貧しい達雄にはピアノを買う金などはないはずですからね。 主筆 ですがね、堀川さ....
」より 著者:芥川竜之介
× × 二三時間たった後《のち》、白は貧しいカフェの前に茶色の子犬と佇《たたず》んでいました。昼も薄暗いカフェの中には....
或る女」より 著者:有島武郎
きったぜいたくな買い物をした。買い物をして見ると葉子は自分の財布《さいふ》のすぐ貧しくなって行くのを怖《おそ》れないではいられなかった。葉子の父は日本橋ではひと....
或る女」より 著者:有島武郎
しかし一帯の趣味は葉子の喜ぶようなものではなかった。塵《ちり》一つさえないほど、貧しく見える瀟洒《しょうしゃ》な趣味か、どこにでも金銀がそのまま捨ててあるような....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
く》もしないで冬を迎えていた。相当の雪囲いの出来ないような小屋は一つもなかった。貧しいなりに集って酒も飲み合えば、助け合いもした。仁右衛門には人間がよってたかっ....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
心から一時的な満足を求めたり、生活をゆがんで見る事に興味を得ようとしたりする心の貧しさ――それが私を無念がらせた。そしてその夜は、君のいかにも自然な大きな生長と....
三つのなぜ」より 著者:芥川竜之介
、人通りの多い街を歩いて行った。すると痩せ細った子供が一人、顔中涙に濡らしたまま貧しい母親の手をひっぱっていた。 「あの林檎を買っておくれよう!」 悪魔はちょ....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
の。私は私自身を何物にも代え難く愛することから始めねばならない。 若し私のこの貧しい感想を読む人があった時、この出発点を首肯することが出来ないならば、私はその....
クララの出家」より 著者:有島武郎
れを見るとクララは咽せ入りながら「アーメン」と心に称えて十字を切った。何んという貧しさ。そして何んという慈愛。 祭壇を見るとクララはいつでも十六歳の時の出来事....
蜜柑」より 著者:芥川竜之介
汽車はその時分には、もう安々と隧道を辷りぬけて、枯草の山と山との間に挟まれた、或貧しい町はずれの踏切りに通りかかっていた。踏切りの近くには、いずれも見すぼらしい....
ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
からは子供のミケルに仕送りをしてもらい、一八三八年に歿くなった。 かように家が貧しかったので、ミケルも自活しなければならなかった。幸いにもミュースの入口から二....