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「貧家〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

貧家の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
わたしは小学校の読本の中に二宮尊徳の少年時代の大書してあったのを覚えている。貧家に人となった尊徳は昼は農作の手伝いをしたり、夜は草鞋《わらじ》を造ったり、大....
虚構の春」より 著者:太宰治
居の背景は、約十枚でこと足ります。野面《のづら》。塀外。海岸。川端。山中。宮前。貧家。座敷。洋館なぞで、これがどの狂言にでも使われます。だから床の間の掛物は年が....
青木の出京」より 著者:菊池寛
差し出しながら、「ほんの少しだが、取っておいてくれ給え」といった。中学時代から、貧家に育った雄吉には、二十円というような大金をまとめて掴《つか》んだことは、そう....
大島が出来る話」より 著者:菊池寛
後で余儀なく倹約して埋合せを附ければいいんだわ。」と、云った。金遣いにかけては、貧家に育った譲吉は、可なり小心であった。とても疾病《しっぺい》などの準備として預....
観画談」より 著者:幸田露伴
、晩学ではあったが大学も二年生まで漕ぎ付けた。というものはその男が最初|甚だしい貧家に生れたので、思うように師を得て学に就くという訳には出来なかったので、田舎の....
風流仏」より 著者:幸田露伴
き写しと抱き寄せて放し難く、遂に三歳の秋より引き取って膝下に育れば、少しは紛れて貧家に温き太陽のあたる如く淋しき中にも貴き笑の唇に動きしが、さりとては此子の愛ら....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
学問を修める人々は、いずれも学資の裕かなる富豪や貴族の子弟であって、学資の乏しい貧家の子弟は学問などするものとは思っていないということである。今や我邦の趨勢もま....
北斎と幽霊」より 著者:国枝史郎
も穢ないので有名であった。ひとつは物臭い性質から、ひとつはもちろん家賃の点から、貧家を選まざるを得なかったのである。 それは根岸|御行の松に住んでいた頃の物語....
文学に現れたる東北地方の地方色」より 著者:佐左木俊郎
日の事也。其夜飯塚にとまる。温泉あれば湯に入て宿をかるに、土坐に莚を敷てあやしき貧家也。灯もなければ、ゐろりの火かげに寐所をまうけて臥す。夜に入りて、雷鳴、雨し....
余齢初旅」より 著者:上村松園
ると雲林院へつくのである。ここには五つ六つくらいの女の子の案内人がいる。いずれも貧家の子であった。それに日本語がいつ習いおぼえたものかうまいものである。私たちが....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
預けたのが、擬更紗の旅袋たった一つ。 しわす、晦の雪の夜に、情の宿を参らせた、貧家の衾の筵の中に、旅僧が小判になっていたのじゃない。魔法|妖術をつかうか知らん....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
今文覚助命刺繍」で、おたきという唖娘。千歳座の「水天宮利生深川」で、おゆきという貧家の娘。同座の「盲長屋梅加賀鳶」で、お民という子守女。同座の「恋闇鵜飼燎」で、....
西航日録」より 著者:井上円了
一つとして土壁を塗りたるものなし。木造草舎は実にロシア民家の特色なり。一見すべて貧家の状態あり。これに住するものは、多く垢衣跣足、東洋然たる風致あり。 今日の旅....
五重塔」より 著者:幸田露伴
主人が浮かねば女房も、何の罪なきやんちゃざかりの猪之まで自然と浮き立たず、淋しき貧家のいとど淋しく、希望もなければ快楽も一点あらで日を暮らし、暖か味のない夢に物....
融和促進」より 著者:喜田貞吉
、かえって奮発の動機となすことができたらかえって幸いです。かの山崎闇斎が、自分が貧家に生れたことをもって幸福だと解した意気は、大いに学ぶべきものであります。 ....