貧寒[語句情報] »
貧寒
「貧寒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
貧寒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「服装に就いて」より 著者:太宰治
を、早く着たいのだが、それでは日中暑くてたまらぬ。単衣を固執していると、いかにも
貧寒の感じがする。どうせ
貧寒なのだから、木枯しの中を猫背になってわななきつつ歩い....
「恥」より 著者:太宰治
ます。貴下に女の読者がひとりも無いのは、確定的の事だと思いました。貴下は御自分の
貧寒の事や、吝嗇《りんしょく》の事や、さもしい夫婦|喧嘩《げんか》、下品な御病気....
「家庭の幸福」より 著者:太宰治
れこそ、あちこち、あちこちの出版社から、ひどい借金をしてしまって、いきおい家庭は
貧寒、母の財布には、せいぜい百円紙幣三、四枚、というのが、全くいつわりの無い実状....
「食魔」より 著者:岡本かの子
彼には何か意固地なものがあった。富贍な食品にぶつかったときはひと種で満足するが、
貧寒な品にぶつかったときは形式美を欲した。彼は明治初期に文明開化の評論家であり、....
「わが半生を語る」より 著者:太宰治
ことになる。それで健康を害し、或いは経済の破綻などもしばしばあって、家庭はいつも
貧寒の趣きを呈しております。寝てからいろいろその改善を企図することもあるけれども....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
たるときである。しかしながらその単純は複雑と多様とを統一したものであって、内容の
貧寒を意味する簡単であってはならない。真の単純化はその内に無数の要素を含める体系....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
有つことになろう。――豊かな情緒の自由主義は哲学組織となろうとする時、忽ち平板な
貧寒な理論となる。と云うことは、自由主義そのものが、決して本当の自由主義の正当な....
「現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
うによっては全くの小さなはした金だともいえないではない。 吾々無産者は、とかく
貧寒なわが一身に引き当ててものを考えるから、この金額も大したものに見えるかも知れ....
「「晩年」と「女生徒」」より 著者:太宰治
五百部といえば、一箇月間に十万部も売れる評判小説にくらべて、いかにも見すぼらしく
貧寒の感じがするけれど、一日に一冊ずつ売れたというと、まんざらでもない。「晩年」....
「台湾の姿態」より 著者:豊島与志雄
隆港の雨は、台北に至る汽車沿線地域の痩せた土地と相俟って、台湾旅客の初印象を甚だ
貧寒なものにする。だが、この新竹の風も宜蘭の雨も、実は取りたてて云うほどのもので....
「秦の出発」より 著者:豊島与志雄
る。嘗てはその滞貨が世界の都市中でニューヨークに匹敵すると言われた上海も、随分と
貧寒にはなったけれど、まだまだ莫大なものを埋蔵している。而もすべてに於て商賈の市....
「現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
ょう。ここが、いゝところだね。はじめから小皿に小さく配給されたんじゃア、孤立して
貧寒だねえ。丸ごと銘々で切りくずして行くところに、銘々が同じ血をわけ合っていると....
「回想録」より 著者:高村光太郎
が非常に貧弱になって了う。江戸時代になると丸鑿の弊害は極端で、肉がぼてている癖に
貧寒なものが多い。 然るに丸鑿を使っている唐招提寺の諸像もいいが、神護寺の薬師....
「真珠の首飾り」より 著者:神西清
れでいてその見聞も観察もなかなか豊富で、その小説の筋には、別段これといった内容の
貧寒さは見られないではないか、というのである。 「もっともこれは、彼の書いたクリ....
「翻訳遅疑の説」より 著者:神西清
との同時性を、快くうながしつつ進行してゆく状態に比べるとき、現代日本語の音律上の
貧寒さと抽象表現に堪えぬという救いがたい不具さとは、残酷なほど露わになるのである....