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貯え
「貯え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
貯えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
く》の老紳士で、血色のいい両頬には、聊《いささ》か西洋人じみた疎《まばら》な髯を
貯えている。これはつんと尖った鼻の先へ、鉄縁《てつぶち》の鼻眼鏡をかけたので、殊....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
かはあるまい。――おれはそう思っていたから、天下を計る心なぞは、微塵《みじん》も
貯えてはいなかった。」
「しかしあの頃は毎夜のように、中御門高倉《なかみかどたか....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
には横《よこた》わっていた。食料は一冬事かかぬだけはあっても、金は哀れなほどより
貯えがなかった。馬は競馬以来廃物になっていた。冬の間|稼《かせ》ぎに出れば、その....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
とする私などに煩《わずら》わされていてはならない。斃れた親を喰《く》い尽して力を
貯える獅子《しし》の子のように、力強く勇ましく私を振り捨てて人生に乗り出して行く....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
× 習性的生活はその所産を自己の上に積み上げる。智的生活はその所産を自己の中に
貯える。本能的生活は常にその所産を捨てて飛躍する。 私は澱みに来た、そして暫く....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
もっとも授業中の遠慮、静に教員控所の板戸の前へ敷居越に髯面……というが頤頬などに
貯えたわけではない。不精で剃刀を当てないから、むじゃむじゃとして黒い。胡麻塩頭で....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
凸凹凸凹と、累って敷く礁を削り廻しに、漁師が、天然の生簀、生船がまえにして、魚を
貯えて置くでしゅが、鯛も鰈も、梅雨じけで見えんでしゅ。……掬い残りの小こい鰯子が....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
し思召しがあるほどの男だが、鳶のように魚の腹を握まねばならない。その腸を二升瓶に
貯える、生葱を刻んで捏ね、七色唐辛子を掻交ぜ、掻交ぜ、片襷で練上げた、東海の鯤鯨....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
年間立山に山|崩があって洪水の時からはたと湧かなくなった。温泉の口は、お雪が花を
貯えておく庭の奥の藪畳の蔭にある洞穴であることまで、忘れぬ夢のように覚えている、....
「土俗玩具の話」より 著者:淡島寒月
見られる。仙台地方に流行するポンポコ槍の尖端に附いている瓢には、元来穀物の種子が
貯えられたのである。これが一転して玩具化したのである。 二 かく....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
の恩人も木も石も金もともに燬くるかと疑わるる炎暑の候にまたかくの如く無尽の涼味を
貯えて人の取るに任すとは有難き事なりと、古人の作中、得意の詩や歌を誦するともなく....
「遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
を知らず。可厭らしく凄く、不思議なる心持いまもするが、あるいは山男があま干にして
貯えたるものならんも知れず、怪しからぬ事かな。いやいや、余り山男の風説をすると、....
「清心庵」より 著者:泉鏡花
の庵に馴れて、あたりの地味にくわしとて、何ほどのものか獲らるべき。 米と塩とは
貯えたり。筧の水はいと清ければ、たとい木の実|一個獲ずもあれ、摩耶も予も餓うるこ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
いう歌人であるのみならず、その気立が優しく、その容貌も優しいので、鼻下、頤に髯は
貯えているが、それさえ人柄に依って威厳的に可恐しゅうはなく、かえって百人一首中な....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
々の攻撃は全軍の見地からすれば一戦闘である)し、敵予備隊の消耗を計って敵が予備の
貯え無くなった時、自分の方は未だ保存している強大なる予備隊に依って一挙に敵を突破....