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貴さ
「貴さ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
貴さの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
身をおいたものが、それを捨てるというようなことをするのは、如何にその人の性格の高
貴さが足らないかを現わすに過ぎないということが強い語調で書かれているのを見た。私....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
東京へ帰りますよ」 「帰って、どうするんだ?」 「お嫁に行きますとも」 「誰れが
貴さまのような者を貰ってくれよう?」 「憚りながら、これでも衣物をこさえて待って....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
に勇士たちが死地にとび込み、そのうちの何人かは散華する。貴い代償だ。一夜の暖睡の
貴さよ。眠っていては相済まぬ。いや眠らせて頂いて、起きたら散華の勇士たちの成仏せ....
「城」より 著者:カフカフランツ
に君には信じられないことに思われようとも、また世間や役人の本質や女性の美しさの高
貴さと影響力とについての君の考えとどんなにぴったり合わないとしても、これはほんと....
「審判」より 著者:カフカフランツ
こと、ここに門番を配置した不運な偶然を男が自分のそばで大声で呪うのを許していた高
貴さ――こういうものはすべて、同情を働かしたものと結論できる。どんな門番でもこん....
「天馬」より 著者:金史良
は何という不幸な存在でしよう。自然は荒廃し民衆は無知であり、インテリは又芸術の高
貴さを知らない。僕はここでゴーゴリがペテルブルグの画家を慨《なげ》いたことを思い....
「染吉の朱盆」より 著者:国枝史郎
這入ってみようかとも考えた。 「とんでもねえ」 と直止めた。 「あの岡八の兄
貴さえ、呑み込まれた恐しい屋敷じゃァねえか。いかに昼でも俺等一人で、踏ん込んで行....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
身の箔が自分にさえはッきり分るほどだった。おそろしいのは育ちであり、また、修業の
貴さだった。田代のようなふところ子にしてそうだから、小倉や三浦のような、千軍万馬....
「女性の諸問題」より 著者:倉田百三
。後のものは高められた母性愛、道と法とに照らされたる母性愛である。そこに人間の尊
貴さがある。愛のために孟子の母はわが子を鞭打ち、源信の母はわが子を出家せしめた。....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
ては骨の髄までも深く深く沁み入ったように覚えて、その爽やかさ心地よさ、東男の血の
貴さは、こうして生立つからでもあろうか。 筍めし 名物の筍は目黒の土に育った....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
えらんで歌った。それは彼女の美とその徳とをたたえて、この世のいかなる財宝も、その
貴さには到底比べられないとの意を詠じたものであった。将軍がその意を訳して聞かせよ....
「地上」より 著者:島田清次郎
うに濃く秀でた眉毛、威厳と情熱に燃える瞳、ふっくらと弾力を湛えた頬の肉付、唇の高
貴さと力強さ――要するに和歌子の美が燃えていたのだ。しかし彼は「男子の気象」を失....
「チェーホフの短篇に就いて」より 著者:神西清
とである。その心の厳しさと広さをもって、彼は人性の醜悪を解するとともに、人性の高
貴さをも逸しなかった。彼がいわゆる実験小説に対蹠していたことは、丁度わが国で最も....
「般若心経講義」より 著者:高神覚昇
性原理こそが真実だといわれています。 したがってそれはもちつする人は「今日」の
貴さをほんとうに知らない人です。いつも「明日」と約束する人は、「今日」を真に活か....
「風の便り」より 著者:太宰治
す。あなたの作品を、もちろん昔と変らず、貴いものと思って居ります。けれども、その
貴さは、はるか遠くで幽《かす》かに、この世のものでないように美しく輝いている星の....