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貸借
「貸借〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
貸借の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「彼は昔の彼ならず」より 著者:太宰治
あった。三月が過ぎても、四月が過ぎても、青扇からなんの音沙汰もないのである。家の
貸借に関する様様の証書も何ひとつ取りかわさず、敷金のことも勿論《もちろん》そのま....
「食魔」より 著者:岡本かの子
な」笑いながらそういった。それから身の上の精算に取りかかった。店を人に譲り総ての
貸借関係を果すと、少しばかり余裕の金が残った。「僕は賑かなところで死にたい」彼は....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
いたが、死んでしまえばその心配もいらなくなったと、ある気安さを感じた。その他金銭
貸借上のこと等が次から次へと浮んできた。しかし僕は死んだのち多くの人に、僕が無謀....
「応仁の乱」より 著者:菊池寛
に発する一種の社会政策である。即ち貝を吹き鐘を敲いて、徳政の令一度発せられるや、
貸借はその瞬間に消滅するのであった。 増大する窮民はその一揆の口実に徳政を称え....
「新ハムレット」より 著者:太宰治
友は、不要の出費。さて、次は、金銭に就いて。これは、とりわけ注意を要する。金銭の
貸借、一切、まかりならん。借りる事は、もとより不埒、貸す事もならん。餓死するとも....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
せられていた世であった。理屈も糸瓜《へちま》も有ったものでは無かった。債権無視、
貸借関係の棒引、即ち徳政はレーニンなどよりずっと早く施行された。高師直《こうのも....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
テカエいくら、誰々からカリ、誰々から返金。日記の文章はどこにもなくて毎日の記事は
貸借のメモだけだった。 その日の午には、長平自身の女のことで、ヤッカイな会見が....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
いつか給料をハミだして、彼らのメモをみれば、船員の普通の収入では賄いきれぬ多額の
貸借になっていた。 ところが、ここに困ったことには、潜水夫の清松が生来のバクチ....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
対してあまりに思い切った態度を取ったのを、後悔していた。 夫人との間には、何の
貸借もないが、準之助氏に対しては、そうは行かなかった。姉のために、あんな大金を借....
「この握りめし」より 著者:岸田国士
。まだ正式の訴えが出てるわけじやありませんから、わしの立場としては、たゞ個人間の
貸借の問題としか認めません。しかし、解決の方法がまずいと面倒なことになるかも知れ....
「役人の頭」より 著者:末弘厳太郎
おかなければならない。例えば、ささいな買物にも一々請取りをとり、友人間のわずかな
貸借にも証文を要求し、はなはだしきに至ると日常の書信も一々内容証明郵便配達証明附....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
里の誉れ、まあさね、私のうちへ出入りをすれば、私の内の名聞ですのよ。……境さん、
貸借も、もとは味方、勘定は勘定、ものは相談、あなたとはお馴染じゃありませんか。似....
「とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
少の土地と家作も持ち、金融力と信用はある方だったが、国太郎の代になってからの此の
貸借逆調の挟み撃ちには、いつか持ちものを切り縮めて行って、差当り生活の為め必要な....
「春心」より 著者:田中貢太郎
云って赤新聞の記者あがり、角刈は半ちゃんで通っている博徒であった。三人はその時、
貸借関係で紛糾している家を恐喝しているところであった。 何時の間にか一人の歌妓....
「ある完全犯罪人の手記」より 著者:酒井嘉七
か考えられない。 ○月 ○日 私の住んでいるのは離れの二階である。――尠くとも
貸借関係の初めには「離れの二階」ということで話が始まった。しかし、私はその離れの....