»
費消
「費消〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
費消の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
い或年輩の骨董屋《こっとうや》は先妻の娘に通じていた。それから或弁護士は供託金を
費消していた。それから或|篆刻家《てんこくか》は、――しかし彼等の犯した罪は不思....
「服装に就いて」より 著者:太宰治
々《ちぢ》に乱れ、ついに意を決して下駄屋の隣りのビヤホオルに飛び込み、五円を全部
費消してしまうのである。衣服や下駄は、自分のお金で買うものでないと思い込んでいる....
「未帰還の友に」より 著者:太宰治
った。上野から吉祥寺まで、省線で一時間かかる。そうすると、往復だけで既に二時間を
費消する事になる。あと一時間。それも落着きの無い、絶えず時計ばかり気にしていなけ....
「花吹雪」より 著者:太宰治
い人物である。同一の志趣を抱懐しながら、人さまざま、日陰の道ばかり歩いて一生涯を
費消する宿命もある。全く同じ方向を意図し、甲乙の無い努力を以て進みながらも或る者....
「縮図」より 著者:徳田秋声
入獄は春まで延期され、彼は当分家にじっとしていたが、時も時、土地の郵便局長の公金
費消の裁判事件が、新聞の社会面を賑わし、町も多事であった。 それらの事件をよそ....
「足迹」より 著者:徳田秋声
覗き込んだ。 側に聞いている母親もお庄も、胸がどきどきしていた。 「まさか弟が
費消をするようなことはありゃしまいと思うがね。」母親は目を擦りながら、傍から呟い....
「爛」より 著者:徳田秋声
ったことなどが、その手紙の文句から推測された。東京にいる時分に、もう大分兄の手で
費消されたような様子も、小林の話でわかっていた。田舎へ帰ったときには、お柳のもの....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
も無い(当時一升十銭時代)貧窮のただ中に大枚二円五十銭の小遣(催能の都度に祖父が
費消する定額)を渫って弟子の駈り出しに出かけたので、祖母や母はかなり泣かされたも....
「関牧塲創業記事」より 著者:関寛
所あり、老躯と僅少なる資金と本より全成効を得べからざるも、責めては資金を希望地に
費消し、一身たるや骨肉を以て草木を養い、牛馬を肥すを方針とするのみ。成ると成らざ....
「決闘」より 著者:神西清
に出ても何ひとつせず、ただ月給を貰って、彼の勤めはつまり法律に触れない醜悪な官金
費消だったではないか。 真理は彼に不要だった、求めもしなかった。彼の良心は悪徳....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
。 例えば、背に腹はかえられず、困窮のあまり、つい台帳をごまかしたり、売上金を
費消(――といっても、その中から固定給や家賃を無断借用しているだけのことだが、形....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
早く実現しそうな気配を、しばらくして見せてくれた。というのは、現在の弁護官が公金
費消の廉で告発されたのである。 事件の審理を命じられた者のなかに、大判事エガア....
「西航日録」より 著者:井上円了
洋行というものはみだりに費用がかかるもの、僕は貧しいのでこれらの人々と肩を並べて
費消するわけにはゆかない。船は二等に乗り、汽車は三等に乗り、酒はやめタバコもやめ....
「機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
実は旦那様と私とは敵同士なんです。随分古いお話ですが、旦那様の下役のある男が官金
費消罪で刑務所へ入れられ自殺したという話をご存じでございましょう。あの当時はまだ....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
された山谷の模様を睹る可き自由を欠いているが、山は其間にこの豊富な材料の幾割かを
費消して、象嵌す可きは象嵌し、はたそれぞれ蝕鏤し彫刻して、期待された使命を果たす....