» 賑わう

「賑わう〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

賑わうの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
。 渋谷《しぶや》の金王桜《こんおうざくら》の評判が、洗湯《せんとう》の二階に賑わう頃、彼は楓の真心に感じて、とうとう敵打《かたきうち》の大事を打ち明けた。す....
伯林の降誕祭」より 著者:岡本かの子
、子供達の雪合戦の街、橇の其処にも此処にも散ばる街――その街はクリスマスの仕度の賑わう街なのです。処々どっしりした旧独逸の高級品屋が在り、柵を引しめる棒柱のよう....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
だという位のことで、他に色っぽい噂はなかった。したがって、どこの飲食店も春は多少賑わうと云う以外に、春らしい気分も漂っていなかった。こう云うと、甚だ荒涼寂寥たる....
紅白縮緬組」より 著者:国枝史郎
羅を焚き」と、その頃の文献に記されてあるが、それは全くその通りであった。分けても賑わうのは吉原で、豪華の限りを尽くしたものだ。 遊里で取り分け持てるのはすなわ....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
およそ三里十町もあろうか、村には戸数三十戸あまり、富士登山の道もあり、夏は相当|賑わうらしく、旅舎が二軒立っている。村の入口から左へ折れて、一町あまり歩いて行く....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
府中は火祭りだったのう。あの火がそうじゃ」 「向こう七日間は祭礼つづき、町はさぞ賑わうことであろう」――これは片岡という武士であった。 「府中の火祭り賭場は有名....
二人町奴」より 著者:国枝史郎
ば浪人組、今世上に名も高い、土岐与左衛門様に深見様、どんな意趣かは存じませぬが、賑わう浅草の境内で時は桜の真っ盛り、喧嘩沙汰とは気の知れぬ話、其角宗匠が生きてい....
青春の息の痕」より 著者:倉田百三
とに囲まれ、書物や絵や音楽が与えられ、晴れた日には「海の幸」を思わせるように港に賑わう船を数え、また窓の下の少しばかりの草木や、鳥やを楽しむこともゆるされていま....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
と思われるころ思いがけないところに電灯の輝く長い一筋を発見することである。夜店の賑わううしろの暗に青い麦畑を見ることもまた場末の情景である。近ごろは芦屋でさえも....
めでたき風景」より 著者:小出楢重
じてみたくなるのも秋である。そのためかどうか知らないが、秋の美術展覧会ははなはだ賑わうけれども、春の展覧会は入場者が少ないので損をするという噂がある。まず秋の顔....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
でした。 その頃初めて縁日を見ました。学校の近くにある薬師様で、八日の縁日には賑わうのでした。近在から来ている女中の定が、目が少し赤いから、お薬師様へお参りし....
香魚の讃」より 著者:佐藤垢石
奥多摩川の渓谷も、清麗である。今年も、江戸川や小和田湾で採れた稚鮎の放流で川は賑わう。豪壮な友釣り姿を見るのは、大利根川である。殊に上州の赤城と、榛名の山裾が....
老狸伝」より 著者:佐藤垢石
らも、こっちからも寺の建立を祝って、多くの人々が集まった。春の寺庭は、晴れやかに賑わう。 守鶴の、この日の役目は、お茶番であった。茶釜の直ぐ傍らに座って、あま....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
流し 川びらきの夜に始まりて、大川筋の夕涼み、夏の隅田川はまた一しきり船と人に賑わうをつねとする。 疇昔は簾かかげた屋形船に御守殿姿具しての夕涼み、江上の清....
観点と距離」より 著者:寺田寅彦
りするためにこの世の中に喧嘩が絶えない。しかし、またそのおかげで科学が栄え文学が賑わうばかりでなく、批評家といったような世にも不思議な職業が成り立つわけであろう。(昭和九年八月『文芸春秋』)....