質朴[語句情報] »
質朴
「質朴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
質朴の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「近時政論考」より 著者:陸羯南
習を守るべきの理なく、世襲権利あるの理なく、したがって世襲君主あるの理なし、俗は
質朴簡易を貴ぶ、政は君主共和を尚ぶ」と。要するに新自由論派はかのルーソーとともに....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
う? しかし少なくも妙な人は、虚栄虚飾に憧憬れている山の乙女山吹の心をその本来の
質朴の心へ返そうとしているのは確からしいが、はたして山吹は彼の言を聞き元の乙女に....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
を説明することも出来なかった。そうして、この三日の間、ラザルスはいかにも穏かな、
質朴な顔をして、何事も隠そうなどという考えは毛頭なかったようであったが、その代り....
「伯林の降誕祭」より 著者:岡本かの子
来るのです。世界で一番ベルリンがクリスマスツリーを、氾濫させるのだそうです。多く
質朴な農夫の夫妻らしいのが、番をして売って居ます。絶えず降り積もる雪が地面にたま....
「水鬼」より 著者:岡本綺堂
ここで僕の注意をひいたのは、この兄妹の風俗の全然相違していることで、兄は一見して
質朴な農家の青年であることを認められるにもかかわらず、妹は媚かしい派手づくりで、....
「村井長庵記名の傘」より 著者:国枝史郎
に駆け着け匙加減、アッハハハ癒して見せるよ」 「どうぞお願い致します」と十兵衛は
質朴な田舎者、つつましく頭ばかり下げるのであった。 「ところで」と長庵は白い眼で....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
いたが、反対側は中庭で、月光が、霜でも敷いたかのように、地上を明るく染めていた。
質朴な土地柄からか、雨戸などは立ててない。お浦は廊下を、足音を忍ばせて歩いて行っ....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
関に近い部屋から、男の答える声がしたが、すぐに襖をあける音がして、二十八、九歳の
質朴らしい、代地という武士が姿を現わした。
「お嬢様ご用でございますかな。……や....
「深見夫人の死」より 著者:岡本綺堂
が農家の人であることは其の服装をみて大抵想像された。彼は四十五、六歳の、いかにも
質朴らしい男で、日に焼けている頬をいよいよ赧らめながら、この不慮の出来事に就いて....
「馬琴の小説とその当時の実社会」より 著者:幸田露伴
種の色男がり、器用がり、人の機嫌を取ることが上手で、そして腹の中は不親切で、正直
質朴な人を侮蔑して、自分は変な一種の高慢を有して居る人物を、馬琴がその照魔鏡に照....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
(語を強め)海は寛大だ! 従者 (始めより領主の後方に謹んで彳みいる、白髪、忠実
質朴の風采、恐る恐る小さき声にて)御前様。 領主 (聞こえぬ如く)海は寛大だ。海....
「妖怪学」より 著者:井上円了
朋輩の交わり絶ち、かつ吝嗇の心あるがゆえに、人にうとまるるなり。もっとも、その性
質朴なるものなり。 七赤に生まるる人は、その星金性なれば、世用をなし、かつ万事器....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
が取り計ろうてやる、とさもさも万事心得た用人めかせる才物ぶり。それを無頓着の男の
質朴にも突き放して、いえ、ありがとうはござりますれど上人様に直々でのうては、申し....
「夕暮の窓より」より 著者:小川未明
分の昔の人も、こうして住んでいたというより他に思われない極めて単純な、自然の儘の
質朴な生活をつゞけている人がある。頭を上げて見るものは悠久に青い空の色である。淋....
「エタ源流考」より 著者:喜田貞吉
ていたが、それらはつとに解放されて、もはや今日では何人もこれを嫌がるものはない。
質朴な農民等は、田植休みや秋祭の際に、氏神の社頭で人形芝居を豊楽に興行し、自ら彼....