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「賺す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

賺すの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
娘の名誉を重んじて忠告をしただけですから、ね、宜いですかね、ね。」 急いた声で賺すがごとく、顔を附着けて云うのを聞いて、お妙は立留まって、おとなしく頷いたが、....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
つつ莞爾とす)やあ、(女房に)……この女は豪いぞ! はじめから歎いておらん、慰め賺す要はない。私はしおらしい。あわれな花を手活にしてながめようと思った。違う! ....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
、その血の痕というもの拭いたり。 「さあ、治りました。もう何ともないよ。」 と賺す、血の出たるが、こう早く癒ゆべしとは、われ信ぜず。 「嫌だ、嫌だ、痛いや、治....
」より 著者:岡本かの子
意気地の無い声を出した。 「姉ちゃんにみんな遣んの嫌だあ」 それから蓑吉は人を賺すときの声を作って 「姉ちゃん、これ、いっち好いの、ひとつあげる」 セルロイ....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
重太郎は黙って眼を晃らせた。 「だから、堪忍してお呉れと云うんだよ。」と、お葉は賺すように重ねて云った。 「何、何故だ。」と、重太郎は息を喘ませて詰寄った。 ....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
は己はどうなっても好い。 己を甘い詞で騙して 己に自惚の心を起させ、 己を快楽で賺すことが君に出来たら、 それが己の最終の日だ。 賭をしよう。 メフィス....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
を極めたらどうか」 支倉の所謂「十二時の鐘がボーンと鳴ると現われて来る」署長は賺すように云った。 「お前は妻子が可愛くないのか。僕にも子供があるから子の可愛い....
別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
モデルにもしたい。」と腹で考えた。そう思うと尚お女が愛しくなって、一層声を和げて賺すように、 「……何を言ってる? 君が早く来ないと言ってそれを何とも言ってやし....
魚玄機」より 著者:森鴎外
迎えた緑翹の顔に、常に無い侮蔑の色が見えたようにも思われて来る。温言を以て緑翹を賺す陳の声が歴々として耳に響くようにも思われて来る。 そこへ緑翹が燈に火を点じ....
暗黒公使」より 著者:夢野久作
貴女を幸福にする者沢山居ります。わかりましたか……」 ストーン氏の説教は子供を賺すように親切であった。その眼は人種の区別を忘れた友情に輝き、その口元は熱誠のた....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
おりました。待ちかねていたお八代さんは、その手からソッと鍵を取り上げて、何か欺し賺すような風付きで、耳に口を当てて二言三言云いながら、サッサと若旦那の手を引いて....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
、懐中へ抱きしめた。 「泣かいでもいい。――男じゃないか、男のくせに」 なだめ賺すと、 「男だから……男だから、泣くんだい。……先生が捕まって行った。――先生....